新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年6月7日

有期労働契約者というだけで手当を支給しなかったことに関する最近の最高裁判決から  ---皆勤手当を支給しないことは不合理な労働条件の相違とするは労働契約法20条違反とする最高裁平成30年6月1日判決---

貨物運送会社の従業員に関する判決ですが、期間の定めのある労働契約の従業員(契約社員)と、期間の定めのない労働契約の従業員(正社員)との労働条件の相違について、労働契約法20条に違反すると争われた事件について、最高裁は平成30年6月1日に、期間を定めて雇った契約社員に手当を支給しないことは正社員と不合理な労働条件の相違になるとして、労働契約法20条違反であるとしました。

期限の定めのない正社員と期限の定めのある契約社員との労働条件が違っていることについて、契約社員に手当が支給されないことが不合理な労働条件の相違と評価すべきかどうかは、会社の規模や職務の内容等の違いによって異なりますので、一概には不合理とはいえません。

6月1日の最高裁判決の事例では、皆勤手当、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当に差異を設けることは労働契約法20条に違反する不合理な相違であるとしました。

 

労働契約法20条とは?

労働契約法20条は同一の使用者に雇われながら、1年契約とか3年契約というように期間を定めて雇われている労働者(有期契約労働者)と、期間を決めないで雇われている労働者(無期契約労働者)の労働条件(本給や諸手当など)が違っている場合に、その違いが「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものではあってはならない旨を定めた」規定です。契約社員のような有期契約の労働者が無期契約の正社員と比較して合理的な労働条件で雇われにくく、労働条件の格差が問題となっていること等を踏まえ、期間の定めがあることによって労働条件に不合理なものとすることを禁止したものです。

ただ、この規定は職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、その相違が不合理性なものであってはならないとするものです。

 

住宅手当を支給しないことが不合理とされる余地があることを示した判決

最高裁判決は、住宅手当を契約社員に支給しないことが不合理と評価できないとしました。

しかし、最高裁判決は、住宅手当は従業員の住宅に要する費用を補助する趣旨で支給される手当であるとしたうえで、当該運送会社では正社員は「出向を含む全国規模の広域異動の可能性がある」のに対し、契約社員は「就業場所の変更や出向は予定されてない」ことを理由に、正社員は転居に伴う配転が予定されているため、就業場所の変更が予定されていない契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となるという理由で、住宅手当を支給しないとしても不合理な労働条件と評価できないとしたものです。

この判例の理由からするならば、正社員も契約社員と同様に全国規模の広域異動がない場合や就業場所に変更がないような会社では、契約社員という理由だけで住宅手当を支給しないことは不合理な相違と評価される余地があることになります。小規模の会社の場合には注意が必要です。

 

皆勤手当、無事故手当、通勤手当の不支給も不合理な相違として違法としたこと

最高裁判決は、「運送業務を円滑に進めるために実際に出勤するトラック運転手を一定数確保する必要があることから」、「皆勤を奨励する趣旨で支給される皆勤手当」について、契約社員に支給しないことは不合理であるとし、労働契約法20条に違反するとしました。

無事故手当についても、無事故手当は「優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得を目的として支給される」手当であることから、乗務員としての職務の内容については契約社員と正社員とで異ならないので、契約社員に無事故手当を支給しないとすることは不合理な労働条件の相違であるとしました。

このほか、通勤手当についても、「労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではない」こと、職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることが通勤に要する費用の多い少ないに直接関連するものではないこと、通勤手当に差異を設けることが不合理であるとの評価を妨げるような事情がないことをあげ、同じ通勤距離でありながら、契約社員は3000円、正社員は5000円と差異をもうけた通勤手当を労働契約法20条違反としました。

正社員と同じ仕事をしながら、有期雇用の契約社員であるということで、労働条件が相違することに疑問をお持ちの方は当事務所にお気軽に御相談ください。労働相談は初回は無料となっております。

                        弁護士 土屋俊幸

著者:

土屋 俊幸パソコンのハードとOSに強く、当事務所のパソコン機器のメンテナンス係りです。自分で高性能のパソコンを自作しています。オーディオが趣味で、最近では、デジタル信号をアナログ信号に変換する機器(DAC)にiPadをつなぎ、どのUSBケーブルだと良い音ができるのかを試行錯誤をしています。ハイレゾ音源とYouTubeのヒアノ演奏や交響楽団の演奏を真空管アンプで、30年前に買ったスピーカーで、音の歪みのもたらす音に聴き入る時間をつくりたいと思っています。論文検索や技術情報の収集など情報検索を駆使しての情報集めを得意としています。オーディオの世界と仕事では燻銀の経験と粘りで頑張っています。

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