新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年3月28日

「相続させる」旨の自筆証書遺言では預金の払い戻しを受けられない?

ある財産を「(相続人)甲野太郎に相続させる」旨記載された遺言は、相続分の指定を伴う遺産分割方法を定めたもので、その遺産が甲野太郎さんに承継されます(遺言形式は問いません。)。例えば、金融機関の預金を「甲野太郎に相続させる」旨記載された遺言では、甲野太郎さんは、他の相続人との遺産分割協議を経ずに、その預金を取得することができます。

ところが、「相続させる」旨の自筆証書遺言(家庭裁判所の検認あり)を根拠に預金の払い戻しを金融機関に請求しても、「遺言執行者が選任されていない」などの理由を述べ、法定相続人全員の署名・押印した所定用紙(印鑑証明書添付)の提出を要求する金融機関があります。

しかし、家庭裁判所の検認があるのにも関わらず、相続人全員の署名・押印を要求するのは、自筆証書遺言を実質的に否定するもので、不適切です。「相続させる」旨の遺言では、遺言執行者は、預金の払い戻しを求めることができないと理解されているからです。※今度の相続法改正により、遺言執行者にも預金の払い戻し権限が認められる予定です。しかし、改正法のもとでも、「相続させる遺言」で遺言執行者の定めがない場合、利益を受ける相続人において払い戻しをすることができます。

裁判例を見ても、「相続させる」旨の自筆証書遺言に基づく預金の払い戻し請求でも、要式不備(無効)や遺言の有効性を疑わせる事情のない限り、金融機関は支払義務を負うと理解されています(東京地方裁判所平成25年12月19日判決などは、自筆証書遺言に基づく預金の払い戻し請求を認める前提で判断をしています。)。

そのため、「預金を甲野太郎さんに『相続させる』旨の自筆証書遺言があるのだから、相続人全員の署名・押印した書類提出の必要はない。」と主張し、他相続人の署名・押印なく、預金の払い戻しを受けることができます(私が実際に依頼を受けた事件でも、このように主張し、訴訟に至ることなく、払い戻しを受けることができました。)。

今後、民法・相続法分野も改正され、従来の実務の運用も一部変更されることになっています。既に作成された遺言に関する問題でお悩みの方、これから遺言を作成しようかお悩みの方、相続問題でお悩みの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。ご相談の予約は、電話またはメール(受付フォーム)にてお受け致します。

 

弁護士 加賀谷達郎

著者:

加賀谷 達郎新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。

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