新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2017年2月17日

ノーモア・ミナマタ新潟訴訟で新潟地裁が国に文書提出命令

 今年で4年目に入ったノーモア・ミナマタ新潟第2次訴訟ですが、1月13日、新潟地裁は国に対し、昭和35年当時、チッソ水俣工場と同様に水銀を使っていた66工場の排水分析結果について工場名が墨塗りされてない文書の提出を命じました。

 これまで国は、通産省の依頼で東京工業試験所が行った全国6工場の排水分析結果と、6工場には昭和電工鹿瀬工場は含まれていないとする報告書を証拠として提出。この報告書には昭和35年12月から36年にかけて4回にわたって6工場の排水溝から採取した排水中に、いずれも水俣工場と同程度かそれよりも高値の総水銀量が検出されたデータが添付されていました。

 原告は国に対し、6工場の工場名の開示を求めたところ、国は回答を拒否。そこで原告は、平成28年3月、工場名が墨塗りされてない文書の提出を求めて裁判所に文書提出命令を申し立てたところ、国は、証拠調べの必要性はなく、公務秘密文書に当たるから提出義務はないと反論していました。

 今回の決定で、裁判所は、工場名が墨塗りされていない文書の証拠調べの必要性を認め、文書が証拠として出されても公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれは具体的に認められないと判示しました。

 決定の中で、裁判所は、国が主張するように、鹿瀬工場が6工場中に含まれていないとすれば、全国のアセトアルデヒド製造施設の中で、昭和35年から昭和39年までの水銀使用量が2番目に多く、アセトアルデヒドの生産実績が全国で3番目で、その当時から多量の水銀を使用していたとみられる昭和電工鹿瀬工場が調査対象から除外されたことになる。とすれば、「6工場にいずれの企業の工場を選択したのかを知ることは、通産省が、調査対象を適切に選択したかどうかを伺うために必要な情報であり、調査対象と調査結果とを照らし合わせることによって、調査対象とならなかった同種工場に対し追加調査をすべきであったなど一定の評価を下すことも不可能とはいえない」。したがって、「国の水質二法に基づく権限不行使の有無と関連性を有する」から証拠調べの必要性があると判示しました。

 また、公務秘密文書に当たるとする国の主張に対して、本件文書は、国民の健康を保護し生活環境を保全するために重要な情報であり、水俣病の原因物質の発生原因やその生成過程・分布状況を明らかにするために実施した調査の結果という公益性の高い事項が記載されている。本件文書の提出については各企業から一定の理解を得ることも不可能ではなく、公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に認められないとして国の言い分を認めませんでした。

 この決定を不服として、国が即時抗告をしたため、文書提出命令の審理は東京高裁に移ることになりますが、今回の新潟地裁の決定により、国の責任を追及する原告の取り組みは大きく前進したといえるでしょう。

(弁護士 中村周而)

著者:

中村 周而さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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