新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年10月4日

ノーモア・ミナマタ訴訟で、原告側が東京高裁判決の間違いを指摘

もとの身体に戻してほしい

ノーモア・ミナマタ第2次訴訟の第21回裁判が9月20日に開かれ、最初に第15陣原告の五十嵐美智子さん(66歳)が意見陳述。新潟市の津島屋に住む五十嵐さんの両親は認定病患者で、両親の親族の中にも多くの認定患者や医療手帳所持者がいました。昭和42年頃までは家族ぐるみで阿賀野川の川魚を食べていた五十嵐さんは、昭和46年頃から手足がしびれるようになったものの、両親からは就職や結婚に差しつかえるから、水俣病の話はしないようにと言われていました。しかし、平成29年、お母さんを沼垂診療所に連れて行った際に、関川医師から「あなたもきちんと診察を受けたほうがよい」と言われたことをきっかけに、平成30年3月、沼垂診療所で診察を受け、水俣病と診断されました。五十嵐さんは、「私は看護師だったので、水俣病は不治の病であることは知っています。被害者の願いは、もとの身体に戻してほしいことです。昭和電工と国にまず謝ってもらいたい」と訴えました。

水質二法に基づく国の責任はないとする国の主張に反論

これまで国は、新潟水俣病が公式発見された昭和40年5月31日以前に国において新潟水俣病が発生していることは認識しておらず、水質二法に基づく規制権限を行使する状況にはなかったと主張していますが、これらの主張に対する反論をまとめた第30準備書面を提出。中村周而弁護士は、このような国の主張は、昭和36年3月の時点で通産省や経済企画庁に求められていた昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド施設の工場排水の調査義務や阿賀野川に生息する魚介類の水銀調査等の調査義務を棚に上げた議論である。これらの調査をしていれば、国は昭和36年の遅くない時点で、鹿瀬工場の前記施設から水銀が流出しており、阿賀野川の流域住民に水俣病を発生させる危険があることを確実に認識することができたことを明らかにしました。

東京高裁(新潟水俣病第三次訴訟)判決の重大な間違いを指摘

さらに原告は、2018(平成30)年3月23日に言い渡された新潟水俣病団第三次訴訟の東京高裁判決の間違いを指摘した第28準備書面と第29準備書面を提出。川上弁護士は、東京高裁が、「メチル水銀曝露と四肢末端優位の感覚障害との間に因果関係が認められるとしても、個々人の症候とメチル水銀曝露との因果関係を直ちに導くものではない」と判示したことに対し、水俣病についてメチル水銀曝露と四肢末梢優位の感覚障害との原因確率は99%の高さを示し、裁判で法的な因果関係が認められる証明の程度である「高度の蓋然性」をはるかに超えるものであることを明らかにしました。

また、味岡弁護士は、東京高裁が、一部の文献の中で、メチル水銀の曝露歴があり、臨床所見として感覚障害のみを呈する21例の剖検例のうち、大脳、小脳及び末梢神経にメチル水銀による障害パターンを示したのは2例(9.5%)であるから、個別的な因果関係を判断するには、疫学的条件が認められるだけでは不十分であると判示したことについて、この21例は、認定審査会で、その全例についてメチル水銀の曝露歴があり、四肢末梢優位の感覚障害の存在が認められていることを明らかにしました。

この日の弁論では、原告側が第15陣原告の陳述書の一部を提出。次回までに残りの陳述書と国の責任論の関する準備書面や疫学に関する準備書面を提出する予定です。

弁護士 中村周而

著者:

中村 周而さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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