新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年4月26日

専属的合意管轄

専属的合意管轄という言葉を知らないで契約書をつくり、頭をかかえている相談者のケースを紹介します。

相談者は新潟市内の配送業者。配送業務委託契約を結んで仕事をしたのに委託料を支払ってもらえなくなった。すぐに相手方(甲会社)を裁判で訴え債権回収をはかりたという相談でした。

甲会社と取り交わした契約書を見て、気になったのは「本契約に基づく取引に関して訴訟の必要が生じた場合は、甲会社の本社所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意裁判所とする」という条項でした。

甲会社の本社は本州の北の青森市内。契約書にしたがえば、相談者は甲会社の本社がある青森市を管轄する青森地裁に提訴することになりますが、そうなれば出張費用がかかり、裁判が長引けば費用倒れの危険もあります。相談者は専属的合意管轄の条項の意味をよく理解せずに契約書に署名したようです。

この条項を無視して新潟の裁判所に提訴すればどうなるのか。

甲会社から「本訴を青森地裁に移送する」という申立てがなされることが予想されます。

相談者が委託を受けた仕事の配送先は全て新潟地区にあり、これまで甲会社新潟出張所の担当者の指示で仕事をやってきました。担当者からは委託料を払ってもらえない理由について納得いく説明がありませんが、担当者も含めて関係者の多くは新潟市内に住んでいます。

もし移送申立てが認められ、青森地裁で裁判が行われれば、相談者は多額の出張費用の工面を強いられ、訴訟も大幅に遅れることは必至ですので、移送申立てが不当であることを新潟の裁判所に訴えることが大事です。

これまでの判例では、「専属的合意管轄の定めがある場合でも、受訴裁判所は法定管轄を有する裁判所であり、かつ著しい損害又は遅滞を避けるため、受訴裁判所で審理をする必要があると認められる場合」には移送しないで受訴裁判所でも審理できるとして移送申立てを却下したケースが数多くあります。

                                                   弁護士 中村周而

著者:

中村 周而さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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