新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年5月3日

辺野古新基地建設問題について

去る2019年2月24日,沖縄県において,国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票が行われ,投票総数のうち「反対」が7割を超える結果となりました。
しかし,国は埋め立て工事を続行しています。
新潟県弁護士会は,この問題について,「辺野古県民投票の結果を尊重することを求める会長声明」を出しました(新潟県弁護士会のホームページに全文が掲載されています)。
この辺野古新基地建設に関しては,憲法学者有志も,建設の強行に反対する声明を出しています(有志と言っても憲法研究者130名以上が賛同しています)。
この辺野古新基地建設問題は,例えば,沖縄戦,米軍統治下で沖縄県内に基地が建設された経緯,本土から海兵隊が沖縄県内に移設された経緯,基地集中による人権問題,民主主義,地方自治,行政不服審査法の問題,大浦湾の環境問題,軍事的に海兵隊が沖縄に駐留することの要否等,様々な論点が含まれています。
すべての論点をここでご紹介することはできませんので,次の2つに絞って私見を述べたいと思います。

1 普天間飛行場の危険除去のためには「辺野古移設が唯一の解決策」なのか
政府は,普天間飛行場の危険除去のためには「辺野古移設が唯一の解決策」であると繰り返し述べています。
しかし,その理由についてはほとんど具体的な説明がなされていません。
(1) 確かに,沖縄県は九州と大陸の中間にあり,他の県にはない地理的位置にあります。
しかし,沖縄駐留の海兵隊は,ローテーションにより一年の半分以上は海外で訓練を行っており,その間沖縄を不在にしていることや,海兵隊を運ぶ揚陸艦母港は沖縄県内ではなく他県(佐世保市)にあること等からは,沖縄における海兵隊の駐留が,即時対応能力を備えた防衛力として国防上必須であるとは言い難く,普天間飛行場の代替施設が沖縄県内になければならない地政学的,軍事的な必然性,合理性は疑わしいと思われます。
(2) また,報道によれば,森本敏防衛大臣(2012年当時)が記者会見において「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄がつまり最適の地域である。」と発言したこと,中谷元元防衛大臣が大臣就任前、沖縄への米軍基地集中について「分散しようと思えば九州でも分散できるが、(県外の)抵抗が大きくてなかなかできない。」と発言したこと,ウィリアム・ペリー元米国国防長官が日本メディアのインタビューに対して、軍事上、沖縄の位置は特別ではなく、辺野古新基地建設問題は政治的・経済的な問題であると発言したとされています。
これらの元大臣や元国防長官の発言からは,沖縄が地理的,軍事的に代替性がない特別な場所であるからというよりも,(地元住民の反対等により)日本の他県に米軍基地を置くことが困難だから沖縄に置くしかないといった考えが透けて見えてきます。
(3) このような,海兵隊の現状や日米両政府元高官による数々の発言は、海兵隊の沖縄駐留が軍事的に代替不可能な唯一の選択肢ではあり得ないことを示しており,「辺野古移設が唯一の解決策」という一点張りの政府の主張は非常に疑わしいと言わざるを得ません。

2 民主主義,地方自治について
県民投票で,辺野古新基地建設に対して反対の意思が示されたにもかかわらず,建設を強行することは,民主主義,地方自治の観点から非常に問題があると考えます。
そもそも,沖縄県民は,ただ単に反対をしているわけではなく,もともと,国土面積の約0.6%しかない沖縄県に全国の米軍専用施設面積の約70%が集中するなど、米軍基地の負担が押し付けられいるという現状が不平等であり,これ以上の基地負担には耐えられないとの思いで辺野古新基地建設に反対しているのです。
もともと過重な基地負担を負っている県民が,反対の意思表示をしているのですから,この意思表明は民主主義の観点から尊重されなければならないというのが道理ではないでしょうか。
また,憲法は地方自治制度を保障しており,地方自治の位置内容である住民自治の原則(住民自らの意思に基づいて地域の事項を決定すること)からすれば,直近の二度の沖縄県知事選挙及び今回の県民投票の各結果に表れた辺野古新基地建設反対の民意は,地方自治(住民自治)の観点からも最大限に尊重されるべきです。
民主主義,地方自治の原則を蔑ろにし,新基地建設を強行するようなことがまかり通れば,それは他の政策でも同じことが起こりえます。つまり,辺野古新基地建設問題だけではなく,また,沖縄県だけの問題だけでなく,今後のあらゆる政策について,あるいは,日本全国どこの都道府県市町村においても,政府が地元住民の意思をまったく顧みずに政策を強行するという同様のことが生じ得るのであって,現在の政府の姿勢は非常に問題があると考えられます。

行政の最大の目的は,国民の生命,身体,財産を守ることです。沖縄県民も日本国民なのですから,日本政府は,米軍基地に起因する被害から沖縄県民(国民)の生命,身体,財産を守るため,米国政府に対して沖縄の民意,すなわち普天間飛行場の代替を沖縄県内に移設することが困難であることを伝え,米国政府と真剣に交渉すべきと考えます。

弁護士 小淵真史

著者:

小淵真史懇切丁寧な説明を心がけておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

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