新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年3月8日

非器質性精神障害の「治癒」と後遺障害の等級認定

Q1

職場の上司によるいじめやパワハラなどの職場のストレスで、うつ病を発症し、労災と認められ、休業補償給付を受けて生活をしています。

うつ病を発症し、治療をするようになって3年近くになりますが、病気を発症する前とならず、不眠となったり、体調の悪いときには家から出たくなくなります。

3年も治療をしているのですが、このまま、うつ病を発症する前と同じようになるまで、労災保険から休業補償がでるのでしょうか。

 

A2

職場の上司のパワハラや仕事が大きく変わったことによるストレスなどによって体調を崩し、身体がだるい、夜良く眠れない、寝付きが悪くなった、途中で目が覚めてしまう、食欲がない、出勤しようとすると頭痛やお腹が痛くなる、下痢などが起きる、さまざまなことに不安を感ずるなど、さまざまな症状が出現し、職場でのストレスが原因による「うつ病」や「適応障害」などと診断されます。

うつ病や適応障害などの精神障害は、脳に何らかの病変があって精神障害となっているわけではないので、非器質性精神障害と言われています。

うつ病などを発症したことが労災と認められた場合、うつ病などが「治癒」するまで治療費と休業補償を労災保険で受けることができることになっています。

 

 

Q2

うつ病や適応障害などでは、体調が悪いとき、良いときがあり、病状が安定していませんが、「治癒」ということで、休業補償も打ち切られ、障害補償給付の申請をしたら、9級と認定されて、一時金の支給を受けることになりました。

労基署のパンフレットを見ると、うつ病などの非器質性精神障害の障害等級は、9級、12級、14級 となっています。

症状が重く、まだ働けず、治療が必要なのですが、障害の等級認定や「治癒」の認定基準があるのですか。

 

A2

うつ病や適応障害のような非器質性精神障害の後遺障害の等級の認定基準では、原則として9級、12級、14級と認定され、障害補償一時金を支給することになっています。

労災保険では、7級以上の後遺障害がある場合には、障害補償年金が支給されます。

「神経系統又は精神の障害」の等級認定には、7級「軽易な労務にしか服することができないもの」、9級「通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当な程度に制約されるもの」、12級「通常の労務に服することができ、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合がある」、14級(12よりも軽いもの)が、あります。

非器質性精神障害の認定基準では、8つの能力(①身辺日常生活、②仕事・生活に積極性・関心をもつこと、③通勤・勤務時間の遵守、④普通に作業を持続すること、⑤他人との意思伝達、⑥対人関係・強調性、⑦身辺の安全保持・危機の回避、⑧困難・失敗への対応)の「能力の低下の状態」を「適切又は概ねできる」、「時に助言・指導が必要」、「しばしば助言・援助が必要」、「できない」の4段階に評価して、9級から4級までを認定することになっています。

認定基準では、職場でのストレスなどを原因とする非器質性精神障害は、業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合と概ね半年から1年、長くても2から3年の治療により完治するのが一般的であり、業務に支障の出るような後遺症を残すケースは少なく、「障害を残した場合においても各種の日常生活動作がかなりの程度でき、一定の就労が可能となる程度以上に症状がよくなるのが通常である」という前提で作成されています。これは病気休暇6か月、休職期間3年の治療を受ければ職場復帰できることが大前提の認定基準といえます。しかし、適応障害やうつ病の症状が長引き、3年以上も薬を飲んで療養しても職場復帰ができず、退職を余儀なくされ、退職後も自宅で昼夜逆転の生活を送らざるを得ない、難治性となっている方もいます。難治性となった場合でも、労基署は、概ね3年経った時点で、「治癒」したとして休業補償給付を不支給とすることがあります。

障害の認定基準では、9級以上の重い障害(症状)が残っている者については、非器質性精神障害は症状の改善が見込まれることから、症状の大きな改善が認められない状態に一時的になったとしても原則として療養を継続するとしています。これは、うつ病などは完治する病気なので、病状が9級程度になって症状が安定するまで、治療を継続し、休業補償給付を行い、9級程度まで回復したら、障害補償一時金を支給することで労災補償を終わらせることを意味します。

他方、認定基準は、「療養を継続して十分な治療を行ってもなお症状に改善の見込みがないと判断され、症状が固定しているときには、治ゆの状態にあるものとし、障害等級を認定することとなる」としています。このため、9級以上の重い症状が残って、治療の継続が必要な人でも、症状が固定しているということで、「治癒」とされ、労災補償が打ち切られてしまう危険性があります。

うつ病でも、「双極Ⅱ型障害」(従来は「躁うつ病」といわれていました)の場合、うつ状態で気分が沈んでいた人が、躁状態の病状となると、うつ状態が回復して良くなったように見えることがありますので、病状が改善されたかどうかはよく診て判断してもらう必要があります。

職場でのストレスによる労災になり、休業補償給付の打ち切りや障害の等級認定について疑問のある方は、ご相談ください。

 

弁護士 土屋俊幸

著者:

土屋 俊幸パソコンのハードとOSに強く、当事務所のパソコン機器のメンテナンス係りです。自分で高性能のパソコンを自作しています。オーディオが趣味で、最近では、デジタル信号をアナログ信号に変換する機器(DAC)にiPadをつなぎ、どのUSBケーブルだと良い音ができるのかを試行錯誤をしています。ハイレゾ音源とYouTubeのヒアノ演奏や交響楽団の演奏を真空管アンプで、30年前に買ったスピーカーで、音の歪みのもたらす音に聴き入る時間をつくりたいと思っています。論文検索や技術情報の収集など情報検索を駆使しての情報集めを得意としています。オーディオの世界と仕事では燻銀の経験と粘りで頑張っています。

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