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2011年1月25日

お互いの人格が尊重される職場作りへ

(事務所誌「ほなみ」第107号掲載)

~五泉市懲戒処分取消判決~

五泉市の職員に対する戒告処分の取消を求めた訴訟で、新潟地方裁判所は、昨年11月11日、戒告処分は違法であり取消すとの判決を下しました。

この事案は、処分を受けた職員の方は課長補佐で、管理職に該当しないにもかかわらず、部下の外出先での女性職員に対するセクハラ行為について、指導監督を怠ったとして処分を受けた点に特殊性がありました。

セクハラは外出先で行われていたため、その行為を知ることはほとんど不可能な状況にありました。部下の非行について、一般的な指導監督義務を負うのは管理職の者に限られるはずであり、五泉市が行った処分は、法律や条例によって定められている職員の権限を十分に精査することなく、部下の行為に上司が責任を負うのは当然という、非常に粗雑な判断によってなされたものでした。

この事案でのもう一つの問題は、五泉市がセクハラ対策を十分に講じていないにもかかわらず、その責任を現場の職員に押しつけたことにあります。セクハラを直属の上司に訴えることは、揉み消しのおそれがあり、自らが叱責の対象になることや、今後の職場内での人間関係の悪化を招くおそれがあるため、一般に大変に困難なものです。そのため、男女雇用機会均等法は、事業主にセクハラ防止措置を講ずることを義務付け、厚生労働省は、セクハラの事業主責任として、相談窓口の明確化や職員に対する周知徹底等の対策を義務付けています。

五泉市はこれらの対策をほとんど講じていなかったのであり、責任を現場の職員に転嫁したものと批判されても仕方がない状況があります。

セクハラの問題に限らず、パワハラ、モラハラ、長時間労働等、職場に関わる相談が多いことは大変に残念なことです。

人が家族と同じくらいの長時間を過ごす職場は、互いの人格を尊重される場でなければなりません。事業主の法令の遵守はもちろん、働く人の人格を尊重する事業主の姿勢が問われる問題であると考えます。

弁護士 近 藤 明 彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の方の納得を最優先にし、依頼者の方から感謝されることを目標に頑張っています。個人的には、以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が非常に多く、そのことが大変に励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えられるからです。

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