新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2010年6月17日

どうして取調べの可視化が必要なのか 

 皆さん、取調べの可視化という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。先般、足利事件の再審無罪が確定しましたが、この再審無罪事件を契機として、取調べの可視化について、国民的な関心も高まっています。
 そもそも、取調べの可視化とは、被疑者の取調べの全過程を録画するということです。でも、どうして、このようなことが必要なのでしょうか。
 日本の警察や検察での取調べは、全て密室で行われています。そこには、弁護人は立ち会えません。検察でのごく一部の取調べを除いて、取調べの状況が録画されることもありません。
 そして、取調べの結果、作成される供述調書は、被疑者が、1人で説明をしたかのような文章になっているのですが、その調書は、被疑者が話した内容がそのまま文章にされるのではなく、取調官が被疑者から聞いた話しをうまくまとめて、調書の形にするのです。その調書の中には、被疑者の真意が反映されず、取調官が勝手に作文をしてしまうということが、少なからず存在します。私も、刑事事件を担当する中で、取調べでは、自分の言い分を聞いてもらえなかった、言ってもいないことを調書に書かれてしまった、という被疑者の方の訴えをよく聞きます。
 このような作文のような調書ができてしまって、それが証拠として裁判所に提出された結果、裁判を誤らせてしまい、多くのえん罪事件が起きてしまっているのです。
 今もあとを絶たないえん罪事件をなくすためには、このような調書を証拠から排除しなければなりません。そのためには、取調室で、被疑者がどのような話しをしたのか、取調官がどのような質問をしたのか、取調べの生のやりとりを記録として残しておく必要があるのです。
 警察や検察は、様々な理由を述べて取調べの全面可視化の導入に反対していますが、その反対の理由はいずれも可視化を拒みたいがための屁理屈に過ぎません。
 このような取調べの可視化は、私たち市民の権利だと思います。被疑者の発言した言葉を、自らのものとして、きちんと残しておくというのは、当然のことなのです。
 取調べの全面可視化を実現するには、弁護人1人1人の弁護活動における努力ももちろんですが、それとともに、市民の皆さんの、取調の可視化は権利であって、直ちに実現させるべきだという声が必要不可欠です。
 弁護士 小 川 和 男

著者:

問題を抱えているにもかかわらず、誰にも相談できず悩んでいる方は多いのではないでしょうか、そのような方々が気軽に相談できる弁護士でありたいと思っています。まずはお話を聞かせてください。

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