新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2011年4月12日

ノーモア・ミナマタ新潟訴訟で和解成立

                                
 (第三者委員会で全員が救済対象に)
 基本的合意を受けて昨年11月22日に設置された第三者委員会に提出するための第三者診断が、12月6日から新潟大学医歯学総合病院で始まり、2月16日までの間に往診も含めて171名の原告が受診した。第三者委員会では、主治医が作成した共通診断書と、第三者診断結果をもとに本間座長を含む5人のメンバーが判定に携わった。
 この委員会では、事務レベルの段階も含めて、個々の原告が阿賀野川流域に居住していた時期や魚介類の入手先や摂取量などの資料も詳細に検討され、最終的に、171人全員が水俣病被害者であるという「一時金等該当」の判定を受けた。すでに2人の原告は、水俣病であるという認定を受けており、1人の原告が訴えを取り下げていたので、原告173人全員が救済を受けられることになった。
 また、この間、基本的合意をさらに具体化するため、環境省との間で何度か期日間協議をなされた。原告団や新潟水俣病共闘会議は、全被害者救済に不可欠な被害地域の住民健康調査の実施と水俣病特別措置法の救済措置の申請期間に制限を設けないことを強く求めたが、合意には至らず、和解成立後の「会議」に持ち越しとなった。

 (和解成立)
 3月3日午後1時15分から新潟地裁で弁論準備手続が行われ、事前に、当事者双方で練り上げた和解条項案を確認した。そして、同日午後1時30分に1号法廷で開かれた第9回弁論で、草野真人裁判長はこの和解条項を読み上げ、双方代理人の了解を得た。この時点で正式に和解が成立した。
 山﨑原告団長が立ち上がって、「関係者のみなさん、ありがとうございます」とお礼を述べると、草野裁判長は、「皆さんの努力に敬意を表します」と応えた。
 今回の和解は、昭和電工と国は、第三者委員会で判定を受けた171人の原告に対して、一時金(1人210万円)、療養手当、療養費、団体加算金2億円を支払うことになった。また、昭和電工は、原告も含む新潟水俣病被害者全体を対象にして、介護サービス保険の利用料の一定部分を負担する制度を創設し、それらの該当者に周知徹底することを約束した。
 国と昭和電工は、「基本的取組」として、和解成立後すみやかに代表取締役会長や環境大臣が新潟において「責任とおわび」を表明することになった。
 このほかの「基本的取組」として、「国は、水俣病の症状に関する調査研究を行い、治療方法、治療薬の研究・開発その他の新潟水俣病の被害者の福祉の充実に務める」こと、昭和電工とともに「地域の振興、健康増進事業の実施、調査研究、一定の要件を満たす健康不安者に対する健康診査・保健指導の実施に努める」ことを約束した。また、昭和電工と国は、水俣病犠牲者のための慰霊碑の設置や慰霊式の開催に向けて努力することを約束した。
 前にも述べたように、被害者救済に不可欠な被害地域の住民健康調査の実施と水俣病特別措置法の救済措置の申請期間に制限を設けないことについては、環境省との期日間協議では合意には至らなかった。この点、和解条項では、国は「特別措置法の実施に当たり、救済を受けるべき者が救済されることを期し、水俣病の診断が可能な医療機関の受診体制の拡充及び救済措置の周知について便宜を図るよう努める。さらに水俣病にみられる症状に関して不安を持っている人々が医学的な診断や相談を受けられるような方策について検討することになった。また、国は、「メチル水銀と健康影響との関係を客観的に明らかにすることを目的として、原告らを含む地域の関係者の協力や参加の下、最新の医学的知見を踏まえた調査研究を行うこと」を約束した。
 今回の和解条項の「基本的取組」の末尾で、原告と国及び昭和電工は、これらの「取組に関する状況確認や協議を行うため、会議を開催する」ことが確認され、被害地域の住民健康調査等の問題も和解成立後の「会議」に持ち越すことになった。
 和解成立後に開かれた報告集会で、原告や新潟水俣病共闘会議は、今回の和解を足がかりにして、今後、水俣病被害者の救済のために制定した特別措置法の申請受付の期限を設けないようにすることや、被害地域の住民健康調査を行って水俣病被害の実態を把握すること、全被害者救済のための恒久救済システムを樹立することなど、「ノーモア・ミナマタ全被害者救済」の実現を目指し、さらに全力を挙げて取り組むことを確認し合った。

 弁護士 中 村 周 而  

  

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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