新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2010年6月30日

ノーモア・ミナマタ新潟訴訟第4回弁論

 第5陣提訴で原告は113名に
 2月4日に開かれた第3回弁論から5月20日の第4回弁論までの3ヶ月余りの間、水俣病問題について大きな動きがあった。第1は、熊本地裁に係属中のノーモア・ミナマタ国賠訴訟で、3月29日に裁判上の和解に向けての基本合意が成立したこと。第2は、水俣病特別措置法について、4月16日、救済措置の方針に関する閣議決定がなされたこと。第3は、5月1日に水俣市で行われた水俣病犠牲者慰霊式に、わが国の首相として初めて鳩山首相が出席し、政府を代表して謝罪したことである。
 このような動きの中で、第4回弁論に先だって、今回も21名の原告が第5陣として提訴した。昨年6月12日の第1陣提訴時は27名だった原告数は、12月3日に第2陣16名、今年に入って2月4日に第3陣31名、3月25日に第4陣18名、そして今回の第5陣と提訴が相次いだことで、この1年間で百名を突破し、113名となった。新たに原告となった皆さんの多くが、自分が水俣病被害者であることすら分からなかったことや、さまざまな事情で救済を求める手を上げることができなかったことを考えると、水俣病被の全害者救済のためには、被害地域の住民の健康調査をはじめ被害者の掘り起こしなどの取り組みが急務であることを改めて痛感する。
 
 昭和電工の「協定書」の曲解を厳しく批判
 この日の弁論では、昭和48年に新潟水俣病被災者の会・新潟水俣病共闘会議と昭和電工が結んだ協定書について、昭和電工が、協定の対象者は「認定患者だけ」と一方的な主張を行っていることに対して、原告側から詳細な反論がなされた。中村洋二郎弁護士は、協定書には「すべての被害者に手をさしのべることが人間としての道である」「今後可能な範囲で潜在患者の発見に努め、発見されたすべての患者に対しても、本協定の精神に基づき責任を持って救済にあたる」と記載されていることからしても、水俣病被害者に該当するすべての被害者を対象にしていることは明白であり、昭和電工の解釈は曲解も甚だしいと厳しく批判した。

 和解協議に向けた取り組み
 私はこの日の弁論で、原告、弁護団、新潟水俣病共闘会議が、4月16日までの間に環境省との間で5回にわたって和解協議をめざした事前協議を行い、昭和電工との間でも協議の申し入れを行っていること、原告としては、今後、引き続いて昭和電工が真摯に全面解決に取り組むことについての前向きの対応を確認しながら、和解協議をする開始することが適当と思われる段階で、裁判所に和解勧告を求める上申をする予定であることを報告した。
 原告団の山崎昭正団長は、「まだまだ隠れた被害者がたくさんいる。昭和電工や環境省は被害者の生の声をたくさん聞いて回ってほしい」と訴えた。山田サチ子副団長は、「昭和電工の姿勢からは話し合いで解決を図ろうとする判断するだけの信頼関係を実感できない」と陳述した。
 次回口頭弁論は、7月8日(午前11時半)に開かれる。
   (弁護士 中村周而)

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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