新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年2月22日

使用者の労働者に対する損害賠償請求の訴えが不法行為になることも・・・

労働問題に関し、「会社から損害賠償を請求された。」という労働者の方から相談を受けることがあります。窃盗・横領等の犯罪行為や故意(わざとした)行為により会社に被害を与えた場合は別ですが、「会社が損害賠償を請求する理由がわからない。無理筋ではないか。」と思う事案も多いです。

横浜地方裁判所平成29年3月30日判決・判例タイムズ1443号222頁以下(従業員が虚偽の事実を捏造し退職し、就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったことが不法行為に当たるなどと主張し、会社が退職した従業員に対し約1270万円の損害賠償請求訴訟を提起した事案)は、会社の損害賠償請求を認めませんでした。逆に、判決は、会社の訴訟提起が不法行為に当たるとして、訴訟提起によって従業員が精神的苦痛を受けたとして慰謝料110万円の支払いを会社に命じました。

判決は、①会社主張の従業員の不法行為によって、会社主張の損害(従業員が会社からの指示で従事していた他社からの支払いの減額、他社からの増員が取り消されたことによる受注予定額相当額)は発生しえないこと、②①について通常人であれば簡単に知ることができたこと、③請求額が従業員の月収額の5年分以上の大金であることを考慮し、会社の訴訟提起が「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」とし、不法行為に当たると判断したのです。

この横浜地裁判決は、使用者(会社)の労働者(従業員)に対する「嫌がらせ」目的ともいえる損害賠償の請求に警鐘を鳴らすものとして、私自身、積極的に評価しています。

当事務所では、勤務先(元勤務先)から損害賠償を請求されている労働者のご相談にも対応しています。ご相談の予約は、お電話またはメール(受付フォーム)にてお願い致します。

 

弁護士 加賀谷達郎

著者:

新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。

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