新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年4月6日

個別立証の山場をむかえたノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟

全原告の陳述書を作成

   新潟地裁に係属中のノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟は、今、個別立証の大きな山場をむかえておりますが、原告弁護団は3月末までに全原告の陳述書をほぼ完成させました。弁護団は昨年春から全原告の陳述書を裁判所に提出する取り組みをすすめ、担当弁護士が各原告から事実関係についての詳細な聞き取りをしたり、実際に川魚を捕った場所や捕獲方法の確認を行い、すでに49通の陳述書を裁判所に提出していますが、4月上旬には全原告136人の陳述書の提出を終える予定です。

原告陳述書には、個々の原告の生い立ちや、阿賀野川の川魚の入手経路や喫食状況、水俣病の発症経過や裁判を決意するまでの経過などが詳しく記載されています。今回の陳述書の作成により、小阿賀野川を含む阿賀野川の全流域にわたって水俣病被害が発生しており、昭和40年以降も阿賀野川の川魚を喫食して水俣病を発症させた原告も多くいることが明らかになりました。

今回の全原告の陳述書の提出によって、これまで提出済みの全原告の共通診断書と第三者診断書(第1陣から第3陣のみ)と共に全原告の個別立証に必要な書証がひとまず出揃ったことになります。

被告らの診療録等の文書送付嘱託の申立ては必要性がない

 原告は、3月19日に開かれた第18回弁論で、この時点で提出が可能になった原告陳述書とその関係書証を裁判所に提出しました。

一方、これまで被告らは、原告が水俣病にり患していることを否定し、個々の原告についての反証の方針は明らかにしていませんでした。今回第18回弁論で、昭和電工は、3人の1陣原告について過去に通っていた医療機関に、診療録、問診票、各種検査結果、入通院録等の文書送付嘱託の申立てを行いました。また国も弁論期日の直前に全原告について沼垂診療所と水俣協立病院に、の診療録等の文書送付嘱託の申立てを行いましたが、申立書には文書送付嘱託を必要とする具体的な理由は記載されていません。そこで原告弁護団は、診療録(カルテ)等の文書送付嘱託を求める必要性はないとして調査嘱託に反対する意見を述べました。

その結果、西森裁判長は、国と昭和電工に対し、送付嘱託を求める診療録等の範囲を特定し、必要性を具体的に記載した補充書を4月19日までに提出すること、原告はこれに対する意見書を5月17日までに提出することを指示し、これを受けて裁判所は、文書送付嘱託の申立てを認めるかどうかの判断をすることになりました。

弁護士 中村周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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