新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2017年7月4日

従業員が勤務終了後に自家用車で帰宅途中に起こした交通事故で使用者の責任を認めた事例

 Aさんが、勤務先Y会社の仕事を終え後に自家用車で帰宅する途中、Xさんの運転する自動車に衝突し、Xさんを負傷させました。Xさんは、Aさんの勤務先Y会社に対し、交通事故の損害賠償を請求できるでしょうか(Yさんが任意保険未加入である場合に、特に問題となります。)。

 前橋地方裁判所高崎支部平成28年6月1日判決・判例タイムズ1434号245頁(交通事故で負傷した被害者が、自家用車で勤務先工場から帰宅途中に事故を起こした加害者を雇用する株式会社に対し、民法715条または自賠法3条に基づき、損害賠償請求を行った事案)は、加害者本人の自宅から勤務先工場に赴く際の電車を使用した際の加害者本人の時間的経済的負担、徒歩や自転車通勤の場合の肉体的負担や事故等の危険性などを総合すると、加害者本人が通勤に自動車を使用することはほとんど通勤方法として代替性がないというべきであり、加害者による勤務先工場への通勤のための自動車運転は、使用者(会社)の「事業の執行について」(民法715条)されているといえ、被害者の請求を概ね認容しました。

 従業員が自家用車で通勤退勤時に起こした交通事故の場合、使用者である会社・団体の損害賠償責任が認められるかは、従業員の自家用車通勤を使用者が容認していたかどうか、自宅から勤務先の移動ルートの交通事情など個別的事情によって、判断が分かれます(この問題に関して、判例タイムズ1436号39頁以下で詳細な分析・検討がされています。)。

 前橋地裁高崎支部判決は、当該地域の交通事情や群馬県の自動車利用状況などを詳細に検討し、「加害者本人の通勤手段として自動車以外の方法は考えられない(通勤方法の代替性はない)」と判断しました。結論に至る判断プロセスは、群馬県のお隣である新潟県(自動車がないと移動が不便)の同種事案にも当てはまるものと考えられ、参考になります。

 交通事故でお困りの方は当事務所の弁護士にご相談ください。ご相談の予約は、電話またはメール(受付フォーム)にてお願い致します。

弁護士 加賀谷達郎

著者:

新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。

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