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2018年1月23日

日本が好きだから憲法を守る

(事務所誌ほなみ123号掲載)

最近テレビ番組を見ていると、日本の製品や技術、暮らしぶりやマナーなどの優れた点を紹介し、それに海外の人たちが感嘆したり驚いている様子を自慢げに取り扱うものをよく見かけます。

日本人のマナーの良さや勤勉さ、それらに裏打ちされた技術力などは確かに海外に誇れるものだと思います。しかし、それが度を過ぎると鼻につき、違和感をおぼえてしまいます。日本の良いところばかりが強調され、外国人が日本人のことを「すごい」と言っているような番組を見続けていると、何か日本人が他の国民よりも優れているかのような思い込みをしてしまいそうになるからです。これらは、お茶の間のバラエティ番組にすぎません。しかし逆に、老若男女、誰でも気楽に見てしまう番組であるからこそ、怖いとも感じます。

日本は、謙虚に、海外の優れたところを学んで、発展した国であるはずです。私は、日本らしさとは、そのような謙虚さ、慎ましさにもあると考えていますが、これらの番組は、そのような日本的な美学とはかけ離れているように感じるのです。

話は変わりますが、最近、憲法改正反対(特に九条改正反対)と言うと、日本のことを思っていない非国民であるかのような言われ方をする空気を感じることがあります。保守=愛国=九条改正というラインを敷き、そのラインから逸れる人を異端視し、反日であるとか左翼であると非難する人さえいます。

しかし、憲法九条の思想は、反日的なものでしょうか。第二次世界大戦によって自国及び他国に重大な被害を生み出した失敗を深く反省し、二度と戦争をしないと誓う、この物事に対する誠実で謙虚な姿勢に、私は日本的なものを強く感じています。そうであるからこそ、憲法は、GHQによる押し付け論などにもかかわらず、七〇年以上にわたり、広く国民からの支持を受け続けてきたのではないでしょうか。「戦争で人を殺さない」という理想と美学は、既に日本人の感性に溶け込んでいるといえます。もともとは保守の代表的な政治家といえる自民党の故後藤田正晴元官房長官は、『語り遺したいこと』(岩波ブックレット)という本のインタビューの中で、「過去の歴史というものに正対することすらしない。そういう意見が国会の場で横行するようになっては、日本という国の道義性、倫理性、品格というか、それすら私は疑いますよ。」と述べているのが印象的です。

憲法九条の改正に反対するということは、決して反日や非国民と言われなければならないような意見では決してありません。「平和憲法は日本の誇り」との意見は、日本を思う心に溢れていることが明らかです。

「日本が好きだからこそ、憲法を守る。」そういう声がもっと挙がってよいと思います。

弁護士 近藤明彦

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