新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2010年1月19日

早池峰山

 (2010年正月号ほなみ掲載)
 健康診断の際にお世話になっている坂井輪診療所に社員(出資者)の「山の会」があり、そこで企画する登山に時々同行させてもらっている。メンバーの多くは、登山経験が豊富で、私より年配の方々も少なくないが、いずれも健脚ぞろい。私にはついていくのがやっとである。普段からもう少し足腰を鍛え、登山の楽しさを満喫したいところだが、現状ではその域に達しそうにない。
 会では、毎年、早春から初冬にかけて月1回の日帰り登山をするほか、年1回、泊まりがけの登山旅行が企画される。昨年は、日帰り登山には数回しか参加できなかったが、2泊3日の登山旅行に同行でき、念願の早池峰山頂に立つことができた。この山は、深田久弥の「日本百名山」にも選ばれる名峰。岩手で育った私は、高校時代、この山にしか棲息しない高山蝶のハヤチネベニヒカゲに魅せられ、北側のコースから何度か登ったことがある。もう一度登ってみたいと思いながら四十数年が経過したが、今回は南側の小田越コースを辿ることになった。 
 前日の早朝、メンバーと一緒にマイクロバスで新潟を出発し、磐越道から東北道を経て、途中で宮沢賢治記念館に立ち寄り、夕方、早池峰神楽の見物客で賑わう麓の山荘に着いた。
 翌朝、小田越の登山口でシャトルバスを降り、午前6時、登山を開始した。エゾマツの樹林を通り抜けると、大きく広がる紺碧の空の中に立ちはだかる早池峰の山容が眼前に迫っていた。稜線をめざして蛇紋岩のコースを慎重に辿った。ハヤチネウスユキソウやナンブトラノオなどが群生し、時々、突き上げるような鳴き声を発して奇岩の上空を飛び交うホシガラスの姿が見られた。8合目の鎖場をよじ登り、2時間半余をかけて、ようやく巨岩の砦のような山頂にたどり着いた。
 午前中で太陽の光が弱いせいか、高山植物の中を飛翔するハヤチネベニヒカゲには数匹しか出会わなかったが、山頂から東西に走るなだらかな稜線や南側に対面する薬師岳の山容は、四十数年前と同じだった。私は思わず若かりし昔に戻った気分になった。
 現実の我が身に戻ったのはそれから間もなく、メンバー全員で記念撮影をし、約1時間休憩した後、下山を開始した頃からだった。次第に膝がガクガクし出し、ようやく登山口に辿り着いた。登山の楽しさを満喫する域は、まだまだ遠い彼方にある。
弁護士 中 村 周 而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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