新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2012年9月5日

水俣病特措法の申請打ち切りと「非該当者」の異議申立

 本年7月31日で受付が打ち切られた水俣病被害者特別措置法の救済申請ですが、最終的に新潟県に対する申請は2108件(但し、新規申請者数は1761人)、熊本・鹿児島を含めた全国の申請者数は6万5151人になりました。当初、国は3万人程度の申請を想定していましたが、その倍以上の被害者が申請をしたことになります。
しかし、まだまだ多くの潜在被害者がいることが窺われます。新潟の場合、環境省が申請の打ち切りを発表して必至に周知徹底を図った本年3月以降の申請者は、新規申請者の約半数の866人であり、7月の1ヶ月間の申請者は443人でした。これらの方々の多くは、それまで自分が水俣病被害者であることに気づかなかったり、差別や偏見のため救済申請ができなかった方々であることからすれば、全被害者が全て申請手続きを行ったとは考えられず、今回の打ち切りで多くの潜在被害者が救済を受けられなくなることは必至です。
一方、今後、救済申請を行った被害者が、判定検討会で適正な「救済」判定を受けられるかどうか心配な点もあります。熊本や鹿児島では、居住歴等で救済対象者を限定する「線引き」で非該当になった人のうち130人が異議申立を行っています。新潟の場合も、これまで「非該当」と判定された3人の被害者が新潟県知事に対して再申請と異議申立を行いました。3人は、主治医の診断では水俣病特有の四肢末梢優位の感覚障害を有していますが、いずれも阿賀野川流域で生活していましたが、昭和35年以前に県外で生活するようになった人達です。
もともと特措法では「昭和40年12月31日以前に阿賀野川でメチル水銀に汚染された魚を多食していた」という条件を満たしていれば、救済を受けられることになっています。ところが、環境省は、ノーモア・ミナマタ新潟訴訟の基本合意で設置された第三者委員会で「昭和35年1月1日から昭和40年12月31日まで」と始期付きの条件を持ち出して、全原告を救済することに執拗に抵抗した経緯がありました。
そこで3人の被害者は、8月9日、新潟県知事に対して「再申請及び異議申立を行った趣旨について」文書を提出し、改めて適正な判定を行うよう求めました。

中 村 周 而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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