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2011年11月29日

資産運用や儲け話には注意! ~社債購入詐欺に学ぶ~

 事務所誌「ほなみ」109号掲載

 

1 社債購入詐欺の手口

 手口は、詐欺業者が一方的にパンフレットを送ってきた上で電話をかけてくるパターン、詐欺業者が突然電話をかけてきて「優良な顧客の方にお電話をしております」と言うパターン等、さまざまです。そして、詐欺業者は「社債を購入してくれれば毎月配当がある」、「手数料は無料」などと述べて社債を購入するよう勧誘します。その上で、被害者は、数十万円から数百万円程度を詐欺業者に預けて、社債を購入します。ですが、これは詐欺なので、「社債」というのはただの紙切れで、何の価値もありません。

 最初の3か月くらいは、詐欺業者または架空の会社から、「配当」として数万円程度を受け取ることができます。これが、被害者に「詐欺ではない」と思い込ませるための仕組みです。この配当によって、被害者は「本当に儲かるんだ。」と信じてしまうのです。

 こうやって被害者を信じ込ませた後で、詐欺業者は「もっと儲かる商品がある」と言って、高額な「商品」を紹介し、数百万円から数千万円を3日以内に支払ってもらえばその商品を購入することができる等と言います。被害者は、少し高いなと思っても、「今までも配当がもらえたのだから、大丈夫だ」と思って、詐欺業者に高額なお金を払ってしまうのです。

2 ターゲット

 ターゲットは、60歳以上の高齢者であることが多いです。この世代は、一生懸命働いて退職金をもらっていることが多く、真面目に老後の資産運用を考えている方が騙されやすい傾向にあります。

3 被害回復の困難性

 被害回復は、容易ではありません。なぜなら、詐欺業者はダミー会社やペーパー会社であることが多いため連絡を取ることも難しいからです。それでも、まれに被害回復ができる場合もあります。

4 被害者の心理

 投資家には、基準値よりもプラスの領域では危機回避的になり、基準値よりマイナスの領域では危険追求的になるという心理があります。すなわち、100万円の利得があった場合と100万円の損失があった場合では、同じ100万円の損益ではありますが、100万円利得の満足度よりも100万円の損失の悔しさの方が大きい、という心理です。ですから、100万円の損失を出してしまった人は、「もっと儲けて損を埋めよう」と思ってしまうので、どんどん深みにはまっていってしまうのです。

5 被害に遭わないために

 まず、世の中にはそんなにうまい話はないと心得ることです。また、やたらと答えを急がせる相手には要注意です。

 そして、一度手を出してしまったら、家族や弁護士などに話してください。「損失を回復しなきゃ!」という被害者心理に陥っていない第三者から、投資を止めてもらうことが必要だからです。現実を見るのが辛くても、これ以上被害を広げないことをお勧めします。

弁護士 黒沼有紗

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