新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2008年12月15日

霊感商法事件と「北玄」販売員の逮捕

 霊感商法の手口で念珠や水晶の置物などを販売していた新潟市内の株式会社北玄について、新潟県警は、11月27日、会社関係者3人を特定商取引法違反の容疑で逮捕しました。
 マスコミ報道によれば、今回の逮捕容疑は、北玄の販売担当者が顧客に、高額の水晶や念珠の「売買契約を締結」させるために、これらの商品を買わなければ「不幸が降りかかる」とか、「家系が途絶える」などど不安をあおり、「威迫して困惑」させたことが、「特定商取引に関する法律」に違反するというもの。
 同社は昨年1月から営業を始め、5百人以上の顧客に対して数億円を売り上げ、県消費者センターには昨年4月から問い合わせや相談が38件も寄せられていたそうです。このような霊感商法事件の被害の広がりの中で、ついに新潟県警が本格的な捜査に乗り出したといってよいでしょう。
  統一協会の霊感商法事件は、すでに20年以上も前から問題になっていました。その当時の商品は、印鑑や高麗人参濃縮液、大理石壺や多宝塔などですが、これらを原価の何倍もする価格で売りつけて、統一協会の資金源にしていました。そして、この霊感商法が大きな社会問題になり、国会でも取りあげられるようになると、今度は商品の種類を宝石や呉服、健康器具等に変え、さらには商品を売らずに「献金」を迫るようになりました。
 被害者の多くは、正体を隠した統一協会の信者から「霊場」に連れて行かれ、そこで霊能者を装った「トーカー」から、あなたの先祖が霊界で救いを求めており、このままでは先祖が作った因縁で家族が不幸になるとか、結婚ができない、絶家になると言って脅かされ、「因縁清算」のために多額の献金をすぐに準備するよう求められたりしました。
 今回、摘発された北玄は、経営者も販売員も統一協会の信者ですが、10年以上も前から別の場所でケンコーという名前で営業活動を行っていました。ケンコーが入居していたビルには今でも新潟教育フォーラムという統一協会のビデオセンターがありますが、ケンコーや北玄の顧客の中には、販売員(実は正体を隠した統一協会信者)から「家系」や「霊界」のことを学ぶためという口実で新潟教育フォーラムでのビデオ受講を勧められ、その後、「因縁清算」を口実に多額のお金を出すようにと「献金」を求められたケースもありました。
 北玄の特定商取引法違反の「営業活動」は、その意味で、統一協会の違法な資金集めの一部分であり、導入部であると考えてよいでしょう。今回の強制捜査で、統一協会の資金集めの全貌がどこまで解明されるのか、注目したいものです。
  (中村周而)

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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