2011年11月10日
高齢者は消費者被害に遭わないか
事務所誌「ほなみ」第109号掲載
国民生活センターが発行している「消費生活年報2010」によると、同センターと全国の消費生活センターをつなぐコンピューターネットワークに登録された2009年度の苦情相談では、相談の当該契約当事者の割合は、60歳代が12.7%、70歳代以上が13.6%ということです。ちなみに、30歳代は18.5%、40歳代は16.5%となっています。
一般的には、高齢者の方が消費者被害に遭いやすいと思われていますので、30歳代、40歳代の割合が多いことは意外かも知れません。
この数字をどう捉えるかですが、30~40歳代は働き盛りで経済活動が活発なので、それに伴い消費者被害に遭うことが多いとも考えられますし、他方で、高齢者は被害に遭ったとしてもそのこと自体に気づかなかったり、また、国民生活センターや消費生活センターの相談までたどり着かないから相対的に割合が低くなっている(つまり暗数が多い)とも考えられます。
いずれにせよ、同年報では、2000年度は60歳以上の相談が16.4%であったのが2009年度は26.3%まで上昇しており、高齢者の相談が増えていると結論づけています。
高齢者に多い相談としては、健康食品(40~70歳代・女性)、生命保険(40~70歳代)、ふとん類(50歳代以上・女性)、株(60~70歳代)、宝くじ(60歳代以上・男性)、家庭訪問(60歳代以上・女性)、当選商法(60歳歳代以上・男性)、点検商法(60歳代以上・女性)、薬効をうたった勧誘(60歳代以上・女性)、SF商法(60歳代以上・女性)などがあるそうです。
逆に、若い人が遭う被害類型としては、インターネット通販、インターネットオークション、無料商法、アポイントメントセールスなどです。
さて、ここまでみてくると、タイトルの「高齢者は消費者被害に遭わないか」という問いに対しては、高齢者であっても高齢者でなくても、消費者被害に遭う可能性はあるという解答になりそうです。
消費者被害は、結局は、被害者のお金や資産が狙われます。相手は、どこかの段階で必ずお金や資産を拠出させようとするはずです。絶対に儲かるとか、楽に稼げるとか、○○のために金が必要だという話はまずは疑ってかかった方が賢明ですが、振り込め詐欺ひとつを取っても手口が巧妙化していることは報道されているとおりです。
そこで、もし、怪しいと感じたり、騙されたのではないかと思ったら、まずは弁護士等の専門家にご相談ください。
弁護士 小淵真史
著者:小淵 真史
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裁判員裁判を経験して
脱原発の声をあげるとき