新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年2月8日

5年目を迎えたノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟

第11陣原告までの共通診断書を提出

 平成25年12月11日の提訴から5年目を迎えたノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟ですが、原告数も第1陣の22人から136人に広がりました。

裁判は、現在、個々の原告が水俣病にり患しているかどうかの立証段階に入っています。今年最初の弁論となる1月22日の第17回弁論では、関川医師が作成した第4陣から第11陣までの原告の共通診断書が書証として裁判所に提出されました。今後、原告は3月末までに全原告の陳述書と、地域集積性に関する調査報告書の提出を予定しています。

一方、国は次回までには原告の個別立証に対する反証をどのようにするかを明らかにし、昭和電工も個々の原告に対する反論を逐次行う予定です。個別立証をめぐる攻防は、いよいよ大きな山場にさしかかろうとしています。

東京高裁判決をふまえて迅速な審理を進めるよう原告が意見陳述

 昨年11月29日、東京高裁は新潟水俣病行政認定義務付け訴訟で、9人の原告全員を水俣病と認定するよう被告の新潟市に命ずる判決を出しました。この高裁判決は、平成25年の最高裁判決の趣旨をさらに発展させ、水俣病の病像をめぐる論争や個々の患者が水俣病にり患しているかどうかの判断についても明快な判断を示しています。

そこで原告では、1月22日の弁論で、今回の高裁判決をふまえて、以下の点を配慮して迅速な審理を進めるよう意見陳述を行いました。

① 高裁判決は、川魚の喫食によるメチル水銀への暴露を中心とする疫学的条件については、認定申請者の供述証拠に依拠する部分が少なくないが、客観的裏付けを欠くというだけで排斥するのではなく、供述証拠その他の資料からこれを認定することができると判示している。原告が提出する陳述書に客観的裏付けを欠く部分があるとしても、是非ともこれを生かして、地域集積性に関する証拠等と合わせて審理の促進に役立てていただきたい。

② 高裁判決が示した水俣病の病像等についての論点については、本件訴訟でも双方の主張がほぼ出尽くされているので、論争が重複しないよう対応していただきたい。

③ 個々の原告が川魚を喫食して高度のメチル水銀暴露を受けた可能性があるかどうかの判断をするにあたっては、行政認定患者だけでなく、特措法の一時金該当者や総合対策医療事業該当者等、さらに新潟水俣病被害者の地域集積性に関する資料等の証拠も参考にして判断していただきたい。他原因の主張については、それが一般的、抽象的なものである場合には採用されないよう対応していただきたい。

国も高裁判決についての意見陳述

 国も今回の高裁判決については軽視できないと判断したのでしょうか、急遽意見書を提出し、「高裁判決は、本件の国家賠償請求訴訟と異なって、公健法に基づく認定が争われた訴訟であり、証拠関係も異なっている。原告らは高裁判決について、自らの都合のよいところを恣意的に誤って引用している」と口頭で意見陳述を行いました。

 

弁護士 中村周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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