新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2013年9月13日

「パワハラ」

(事務所誌ほなみ第114号掲載) 

Q.職場の上司から受けたパワハラのことで相談したいのですが。
A.上司から具体的にどのようなことをされたのでしょうか?
Q.以前、私が些細なミスをした際、他の社員が大勢いる前で、「お前は覚えが悪いな」「バカかお前は」「無能だ」などと大声で怒鳴りつけられました。それ以来何かにつけて、「会社を辞めろ」「給料泥棒」などと言われました。他の社員が私と同じようなミスをしても「今度からは気を付けて。」と注意するだけなのですが・・・。これって「パワハラ」ですよね?
A.「パワーハラスメント(パワハラ)」の定義は、平成24年1月30日に厚生労働省が発表しており、パワハラとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を言います。具体的な行為類型は次の6つです。 
①暴行・侵害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
 今回の上司の言動は、②にあたると考えられます。
Q.では、上司や会社に対して損害賠償請求できますか?実は、上司からのパワハラのせいで、不眠症・食欲不振・気力の減退などの状態が続き、心療内科に通うようになりました。医師からは「抑うつ状態」と診断され薬をもらいましたが良くならず、もう上司の顔を見るのも嫌だったので、結局会社を辞めました。それで、病院の治療費や休業補償、慰謝料を損害として請求したいのですが。
A.まずは、「労働者災害補償保険法」(以下「労災保険」と言います。)に基づいて労災認定の申請を行うことが考えられます。労災保険は、労働者が労災保険の適用される事業場に雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害(業務災害)に対して給付されるものです。今回は、上司からのパワハラが原因で「抑うつ状態」になったといえるかが問題となりそうです。
 また、上司のパワハラ行為が、従業員の人格権に対する侵害として違法な行為といえる場合には、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることも考えられます。
Q.どういう場合に「違法な行為」といえるのでしょうか。
A.企業において上司が部下を注意・指導することは、業務の適正な範囲であれば許されます。しかしながら、裁判例においては、様々な事情を考慮した上で、上司の注意・指導が裁量権を逸脱・濫用したような場合には、社会通念上許容される範囲を超えた違法な行為と判断されています。この場合、上司は、不法行為に基づいて損害賠償責任(民法709条)を、また、会社も使用者責任に基づいて損害賠償責任(民法715条)を負う場合があります。
Q.なんだか難しいですね・・・。
A.そうですよね。最近は、「パワハラ」の相談事例も多いのですが、法律上の判断は難しいものです。当事務所では、パワハラをはじめ様々な労働問題を扱っておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

弁護士鈴木 麻理絵

著者:

生まれも育ちも埼玉県ですが、縁あって新潟で弁護士として働くことになりました。依頼者の方に「相談して良かった」と思っていただけるように、誠実に取り組んでまいります。

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