新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2013年11月5日

最高裁判所が非常識?(婚外子違憲判決をめぐる議論について)

今年の9月4日、最高裁判所は、「法律婚という制度自体が定着しているとしても、子にとって選択の余地がない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されない」として、婚外子の相続分を嫡出子の半分としている現行民法は憲法違反だと判断しました。この最高裁判決を受け、現在国会で民法改正が検討されています。

しかし、改正を巡る議論の中で、反対論者の国会議員は「家庭制度が崩壊する」ことを理由として、「最高裁は非常識」「現行憲法と結びつけると今回の決定になるとすれば、現行憲法が間違っている」などという発言をしたそうです。

まず、大前提として、法治国家である日本において、司法の最終的な法解釈の判断を行う最高裁判所が、「法の下の平等」というごく当たり前の理由により違憲判断を下したわけですから、その判断に立法府が従わないということはあり得ません。

次に、婚外子の相続分を平等にすると「家庭制度が崩壊する」という理由が不明です。相続分如何によって、婚外子が生まれなくなる理由があるのでしょうか。相続分が嫡出子の半分であることが浮気を抑制するのでしょうか。少なくとも何の責任もない子どもに不利益を負わせる必要はありません。さらには相続分を平等にしても、遺言制度によって調整を図ることは十分に可能です。

また、昨今では「事実婚」という夫婦関係を選択する夫婦も多いのですから、婚外子が生まれる理由には様々な事情があります。(自民党の野田聖子議員も自信が非嫡出子であったことを発言されているようです)「めかけの子」を前提とした議論はあまりにも視野が狭すぎると言わざるを得ないでしょう。

親がいかなる夫婦関係を選択しようとも、生まれた子どもは法の下では平等であるべきです。ごく当たり前の最高裁の指摘と、憲法が間違っているという国会議員の発言のどちらが「非常識」なのでしょうか。速やかな民法改正がのぞまれます。

弁護士 二宮淳悟

著者:

2010年12月 当事務所入所 ・2012年~新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・2015年~新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・2019年~新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・2020年~新潟県弁護士会 学校へ行こう委員会 副委員長 ・2023年~新潟県弁護士会 刑事弁護委員会 副委員長  ・2012年~日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・2018年~関東弁護士会連合会 災害対策委員会 副委員長

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