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2014年1月17日

遺言を書いておくのも悪くない

新年早々遺言なんて縁起でもないと思われる方もいらっしゃることでしょう。しかし、「一年の計は元旦にあり」という言葉があるように、遺言書の作成は「人生の計」ともいえるものです。少しだけ、これからのことを考えておきませんか。

 1. 遺言書がないとどうなる?  遺言書がない場合、相続人は法律で定められた相続分に従って遺産を分けるのが原則となります。しかし、具体的な分け方(自宅は長男、銀行預金は妻など…)は相続人同士の話し合いで決定することになります。この話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停・審判によって遺産の分け方が決められることになります。 たとえば相続人の中に事業や農業の後継者がいる場合に、後継者に主要な資産を与えたいと考えていたとしても、遺言書がなく、他の相続人が権利を主張すれば、思っていたようにはまとまらないことが多いと考えられます。「相続争い」という言葉がありますが、遺産相続をめぐって、相続人同士で紛争に至ってしまうことがよくみられるのです。 

2. 遺言書が特に必要な人はどんな人? 遺言書を残しておくことは、相続人間のトラブルを避けるために効果を発揮します。 相続人の中に遺産を分け与えたくない人がいる場合、相続人の中に特に多くの遺産を与えたい人がいる場合はもちろんのこと、「農地だけは農業を継いでいる長男に」とか、「会社の株だけは会社を継いでいる長女に」というふうに、特定の財産をある人に相続させたいという場合にも効果を発揮します。また、相続人以外の人で特にお世話になった人に遺産の一部を御礼として渡したいような場合にも、遺言をしておく必要があります。 また、民法では、非嫡出子(いわゆる婚姻外の子)の相続分は、嫡出子の半分と定められていますが、最近、この民法の定めは憲法違反であり、子である以上、相続分は平等であるべきとする最高裁の判断が下されました。このように、相続関係が複雑であったり、相続人の兄弟仲が既に険悪である場合も遺言を残しておいた方がいいでしょう。 

 3. 遺言を書くと恨まれるのでは?よくそのようなことを心配される方がいらっしゃいます。相続人から恨まれたら、「死んでも寝つきが悪い」と心配される気持ちはよくわかります。 しかし遺言を書いて恨まれてしまうようなケースの多くは、遺言書がなかったら、相続人同士でもっと深刻な紛争に至ることが多いのが現実です。私の経験では、遺言によって不満を抱く人がいたとしても、遺言書があることによって、深刻な紛争を避けることができるケースがほとんどです。 私は多くのケースにおいて、正式な遺言書とは別に、覚え書のようなものを併せて作成されることをお勧めしています。こういう意図で、こういう遺言書を書いたという説明書のようなものですね。これをきちんと書いておけば、あなたが遺言書を書いた意図をきちんと相続人の方にわかってもらうことができ、残された人たちを思うあなたの温かい心を残しておくことができます。 

 4. 遺言書は適当に書いていいの? 遺言書の作成の仕方は、民法で詳しく定められており、その方式に従って作成しないと効力がありません。 主なものとして、公証人役場で作成する公正証書遺言と、全部自分で手書きする自筆証書遺言があります。公正証書遺言が最も確実な遺言でありお勧めですが、その方の事情によっては自筆証書遺言をお勧めする場合もあります。 弁護士は、遺言を書く必要があるか、書くとしたらどのような内容が良いか、公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらが良いかなどについて相談者の方と一緒に考え、遺言書の文案の作成、公証人役場との連絡や同行、遺言書の保管などのサポートをしています。 「今年はそろそろ遺言を書くことを考えてみようか」という方はお気軽にご相談ください。  

              弁護士近藤明彦                                                          

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の方の納得を最優先にし、依頼者の方から感謝されることを目標に頑張っています。個人的には、以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が非常に多く、そのことが大変に励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えられるからです。

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