新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2014年1月22日

取調べ録画DVDの映像提供問題で「懲戒不相当」

 刑事事件の公判で再生された取調べ映像のDVDNHKに提供したとして、弁護士が大阪地検に懲戒請求されていた問題で、大阪弁護士会は1月15日、「弁護士の品位を失う非行にはあたらない」として懲戒処分の必要はないと決定しました。 大阪地裁は2011年7月に、傷害致死事件の裁判員裁判で、取調の様子が録画され大阪地検が証拠提出したDVDの映像を根拠にして、供述調書の信用性を否定し、男性被告人に無罪判決を言い渡しました。その判決確定後に、弁護士が、その男性の承諾を得てDVDNHKに提供し、NHKは、2013年の報道番組で、男性の顔をぼかすなど映像や音声を一部加工して放送しました。

 刑事訴訟法は、検察が開示した証拠を公判準備などの目的以外で他人に見せたり渡したりすることを禁じており、この規定に基づき、大阪地検は、目的外使用にあたる、「弁護士の品位を失うべき非行」があるとして大阪弁護士会に懲戒請求していたのです。

 今回の大阪弁護士会の議決では、目的外使用にはあたるが、取調べ可視化の議論に資する目的であり、関係者のプライバシーも害されていないことなどから、悪質性はなく、「懲戒不相当」としているようです。

 もちろん、この結論は当然のことだと思いますが、そもそも、虚偽の調書を作成するという重大な違法行為が行われているのですから、それを国民に知らせることは国民の知る権利に応えるとても重要なことではないでしょうか。国民の知る権利に資する今回の行為は、そもそも目的外使用にはあたらないという判断もあり得るのではないかと思います。 

弁護士 小川 和男 

著者:

問題を抱えているにもかかわらず、誰にも相談できず悩んでいる方は多いのではないでしょうか、そのような方々が気軽に相談できる弁護士でありたいと思っています。まずはお話を聞かせてください。

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