新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2014年1月24日

ノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟を提訴

 未だに救済を受けられないでいる新潟水俣病の被害者が、12月11日、加害企業である昭和電工と水俣病の被害拡大を防止できなかった国を被告として新潟地裁に「ノーモア・ミナマタ第2次新潟全被害者救済訴訟」を提訴する。22名の原告は阿賀野患者会の会員(県内在住者が20名、2名が県外在住者)で、平均年齢は72歳。
 ノーモア・ミナマタ第1次訴訟の原告173名が、昭和電工と国との間で和解をしたのは、2011年3月3日。東日本大震災から2ヶ月後の同年5月8日に新潟市内で開かれた「和解解決の会」には、松本龍環境大臣(当時)が出席し、被害者の前で「政府を代表して、かって公害防止の責任を十分にはたすことができず、水俣病の被害を防止できなかった責任を認め、改めて衷心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
 しかし、翌2012年7月末、環境省は多くの反対を押し切って水俣病特措法の救済申請の受付を締め切ったため、それまで自分が水俣病であることに気づかなかったり、様々な事情で救済申請ができなかった被害者は特措法による救済を受けられなくなり、よりハードルの高い公健法の認定申請を行わざるをえなくなった。また、特措法の救済申請をした人の中には、救済「非該当」と判定され、新潟県に対して異議申立を行っている人もおり、間もなく審理が進められようとしている。
 今回の原告のうち12名は、特措法の締め切り後に新たに水俣病という診断を受けて認定申請を行っており、10名は特措法で非該当と判定され、異議申立を行っている。
 2013年4月16日、2つの最高裁判決は水俣病について幅広い救済基準を示し、同年10月25日の公害健康被害補償不服審査会も最高裁判決が示した考え方に基づき熊本県の認定棄却処分を取り消し、水俣病と認定することが相当であると裁定した。これらの最高裁判決や不服審査会の裁決が出されたにもかかわらず、環境省はいっこうに認定基準の見直しをしようとせず、水俣病問題の解決に真剣に取り組む様子はみられない。
 阿賀野患者会や新潟水俣病共闘会議は、今回の第2次訴訟を通じて、原告を含む水俣病の全被害者の救済を求めるとともに、多くの被害者が個別に裁判を起こすことなく、公正かつ迅速に救済される水俣病の新たな救済制度の確立を目ざしている。
阿賀野川流域に水俣病が発生していることが公表されたのは、1965年6月12日。49年後の現在でも新潟県の内外には多くの水俣病被害者が未だ救済を受けられずに闘病生活を送っている。

弁護士 中村 周而

著者:

さまざまな問題を依頼者の皆様と一緒に考え、解決をめざします。 最近は、社会の高齢化が進む中で、高齢者をめぐる貧困、医療、介護、家族との関係などさまざまな問題が深刻さを増しています。私もそうですが、団塊の世代を含めた高齢者が、もっと声を大にして問題の深刻さを訴える必要がありそうです。

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