新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2009年6月18日

大橋和彦さんの過労自殺事件で公務災害認定

 (2009年5月15日発行ほなみ掲載)
 去る1月29日、地方公務員災害補償基金新潟県支部審査会は、県職員であった大橋和彦さんの自殺を公務外とした原処分を取り消し、公務上の災害であるとの裁決を下しました。当時34歳であった大橋さんが亡くなってから6年半の年月を費やしての勝利です。
 大橋さんは、平成12年4月、9月、亡くなる直前の平成14年4月頃を中心として月100時間を超える時間外勤務にさらされていました。大橋さんはこのような激務でうつ病にかかり、医師の治療を受けながら業務を続けていたのです。
 原処分は、これらの大橋さんの長時間勤務は、職務の過重性によるものではなく、本人の真面目すぎる性格的要因によるものであるなどとしていましたが、審査会はその判断を完全に覆し、大橋さんの職務について、「通常の日常の職務に比較して特に困難な職務を命ぜられていたもの」であるとし、「被災職員の性格的要因により時間外勤務時間が多くなったとはいえない」と明確に判断しました。大橋さんのご両親は、「息子に、よく頑張ったなと言ってやりたい」と気持ちを語ってくれました。
 この認定を勝ち取るについては、ご遺族が膨大なる情報公開を行い、大橋さんの仕事の詳細を明らかにしたこと、組合の全面的な支援・協力、そして合計約17万筆を超える署名による皆様の声が大きな力となりました。
 しかし、他方で、過労死基準を超える長時間労働を行った事実があっても遺族がこのように途方もない努力をしなければ、公務災害と認められないということは正常なことでしょうか。原処分庁(地公災基金新潟県支部)は、調査の結果、本件の災害について、「公務上」で意見をまとめ、上部組織である地公災基金本部に協議をもちかけています。これに対し、基金本部は、嘱託医の「医学的知見」をそのまま引用して、「本件は公務外の災害として取り扱われたい」との指導を行い、原処分庁はそれに従って、「公務外裁決」を下しています。基金本部は調査をした当事者でもなく、処分権者でもありません。嘱託医は大橋さんを診察したこともありません。
 このような基金本部による不当な指導・介入がなければ、このような長い年月を要することはなかったことをここで申し述べたいと思います。
 長時間労働・過労・ストレスの問題は、働く者であれば、誰しも直面しうる問題です。働く者だれもが健康でいられる社会を目指し、この公務災害認定を生かして活動を続けていきたいと思います。
弁護士 近藤 明彦

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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