新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2022年1月17日

わすれこき

わすれこき(忘れコキ)は、“忘れものをよくするヤツ”という私の田舎を含む新潟県の蒲原地方の方言です。「しゃべっちょこき」「うそこき」「しゃれこき」「てんぽこき」「ねぼこき」など、「・・・こき」はよく使われています。
私は、幼い頃から「んな(お前)は、ほ~んき(本当に)わすれこきらて。」と言われていました。
朝小学校に登校しては忘れ物に気づき、朝礼までに間に合うよう家まで走って戻ってばかりいました。いつだったか、あまりに自分が情けなくて泣きながら家まで道端を走って戻る途中、滑って横を流れる用水に落ちてしまい、ずぶ濡れ状態でさらに大泣きしたことがありました。
隣りの小学校のプールを借りて(当時うちの小学校にはプールがありませんでした。)、水泳の授業があったのに海水パンツを忘れ、木綿の白い下着パンツのままプールに入り、恥ずかしくて、皆が楽しそうに泳いでいるのを横目に、プールの片隅で水で半分透けている白いパンツをじっと見つめながら、一人プカプカ浮いていました。
大人になっても“わすれこき”は治らず、傘なくしは数知れず、弁護士のバッジや身分証明書を新潟市内のあちこちの警察署の拾得物係まで取りに行ったこと、恥ずかしいことですが、裁判でJR新潟駅から金沢行きの在来特急に乗り高田駅に降りた際に、事件記録を包んだ風呂敷を座席に忘れ、後日同じ特急に乗って金沢駅までもらいに行ったこともありました。
認知症を患っている私の母親が、「今」の記憶が定着しない一方で、「昔」の記憶を鮮明に覚えていて事細かに私に話しかけてくるのを見ていて、若い時から“わすれこき”だった私は、もし自分が母と同じようになったら、いったいいつの記憶が残っているのだろうかと思い、底知れず暗い気持ちでおります。
新春なのにこんな話で申しわけありませんでした。

弁護士 金 子  修

(事務所誌「ほなみ」第131号掲載)

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