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2017年10月3日

モメごとは調停におまかせ調停ってイイもんだぜ

 ほなみ第122号より搭載

 

 今回は、ぜひ読んでいただきたい本の紹介です。

 中島信子さんの『家事調停委員の回想1漂流する家族に伴走して』(富山房インターナショナル、税別1800円)です。

 題名を少々固いですが、著者は42才で家事調停委員となり約30年間、夫婦や家族の問題と格闘し続けた方で、文章が柔らかくて読みやすく、そしてためになる本です。私は、通勤のバスや出張の電車の中でこつこつ一週間で読み上げました。

 ご存じの方も多いと思いますが、離婚や相続など家族・身内に問題が起こり、当事者だけでは円満に解決しない場合、家庭裁判所の調停があります。その調停で当事者の間に立って話し合いを進める役割が家事調停委員です。著者中島さんのお話のイチ押しは、調停手続の紹介や自分が関わった事件の感想にとどまらず、それを整理し分析して、生々しい事件に直接触れた立場から自分の意見を述べられているところです。例えば、

(調停委員として離婚事件で離婚か修復かを考える時に)

不思議なことですが、夫婦としての愛情が残っている当事者たちの全身からは、言葉とはちがった、何か温かみのある色気のようなものが感じられるのです。表情一つ、笑顔一つに、何ともいえない可憐さ、優しさが見え隠れしています。本当に不思議です。(61頁)

(現代の離婚をひと昔の離婚を比較して)

三十年前の離婚と現在の離婚とを比べたとき、決定的に違ってきている点が四つあります。

 ⑴女性に経済力がついてきたこと

 ⑵養育費の請求がしやすくなったこと

 ⑶別れた子どもとの面会交流が認められるようになったこと

 ⑷離婚に対する社会の目が違ってきていること

  以上の点は、夫婦が同じ目の高さで離婚を話し合えるようになったことを

  意味しています。(91頁)

(離婚問題に対する国の姿勢について)

国の借金が膨大にふくらみ続けている現状では、母子(または父子)家庭が増え続けても、単身家庭の福祉に回す予算は限られています。(中略)離婚した夫婦は自助努力で自分たちのこともの生活を賄ってください、そのためには別居親はしっかり養育費を支払って、同居親もがんばって別居親と子の面会交流をさせてあげてくださいよ、というのが国の新しい方針でしょう。しかし、この政策を打ち出したわりには、当事者まかせのやり方をしているように思われます。(中略)間違いなく養育費が同居親に届くようなシステムをつくり、確実に養育費を支払った親には税制上の優遇措置をするといった国全体が総合的に動く必要があるように思います。また、面会交流に関しても、(中略)安心して子どもを会わせられる広い施設の建設や、専門職の担当職員の育成に着手するなど、それなりの予算を付けて実質的に動き出す必要があると思うのです。計画を立ててから実行に移されるまでに、国のやることはいつも時間がかかり過ぎます。(112頁)。

 家事調停ってどんなものか不安という方、大丈夫ですよ。家事調停は安・近・短(アンキンタン)です。安=費用が安く、近=生活の場所から近いところで、短=比較的短い時間で問題を解決できる。

 中島さんの本を読んで、ぜひご利用を。私たちもサポートします。

 

弁護士 金子 修

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