2021年1月25日
人と野生動物との共生
(事務所誌 ほなみ第129号)
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年は、県内各地でクマの出没が相次ぎ、人身被害も数多く発生しました。県は「クマ出没特別警報」を出して、厳重警戒を呼びかけし、様々な対策も取られました。えさ不足が原因とされていますが、根本的には里山の荒廃、すなわち山に人が入らなくなり、里山の緩衝帯としての機能が失われ、さらに、狩猟をする人が減ったため動物が危険を感じる機会も少なくなって、クマやサルが奥山と人里を簡単、かつ、安全に行き来できるようになったことが原因ではないかとも言われています。
昨秋、長岡市の中山間地に住んでいる叔父さん(猟銃の免許を持っていてクマを駆除したこともある)のところに行く機会があり、クマの話を聞いたところ、クマ被害もあるがここ数年サルによる農作物の被害が酷いという話を聞きました。里芋、カボチャ、トマト、ナス、キュウリ、枝豆、トウモロコシ、大根、長いもなど様々な農作物を作っていたけれどもサルにほぼ全部食い荒らされてしまうので、最近は自宅庭先で少しだけ作るようにしている、野菜も買わなければならなくなった、ということでした。
サルは農作物なら何でも食べ、しかも一番美味しいところだけかじって残りを捨てていくということで、大切に育てた野菜をそんなふうにされたら、作る気もなくなるだろうなと思いました。サルがカボチャ2個を両脇に抱えて歩いているという姿も見たそうです。
サルも生きるために必死なのでしょうが、農作物の被害も深刻です。人間も動物も、多種多様な生物の一員であり、様々な生物の調和がとれた生態系をどのように維持していくのか、難しい問題に直面しています。
弁護士 小 川 和 男