2019年9月4日
任意後見制度をご存じですか
「成年後見制度」は、制度が始まって18年を経過しました。それなりに周知され、皆様もよく耳にするのではないでしょうか。ところで、その成年後見制度には、大きく分けると「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つがあります。
判断能力が不十分になってしまった後に、周囲の方などが申し立てを行い、家庭裁判所が後見人を選定する制度を法定後見制度と言います。この法定後見制度は、一般的に良く知られていると思います。
一方、「任意後見制度」は、周知されているとはいえません。どのような制度かというと、将来、判断能力が不十分となったときに備えるための制度で、ご本人の判断能力があるうちに、将来、自らの判断能力が低下した場合における財産管理や介護サービス締結等の療養看護に関する事務について、信頼できる方に依頼し、引き受けてもらう契約を結ぶというものです。
そして、この契約を任意後見契約といい、依頼するご本人を委任者、引き受ける方を任意後見受任者(後に、任意後見人)といいます。また、任意後見契約は、公正証書により締結します。公正証書の作成により任意後見契約は成立したことになりますが、ご本人がお元気な間はこの契約の効力が生じることはありません。将来ご本人の判断能力が低下してしまった時に、任意後見受任者は家庭裁判所に後見監督人の選任の申立てをします。その申立てに基づき後見監督人の選任(司法書士や弁護士が選任されることが多い)の審判を経て、ご本人への支援が始まることになります、後見監督人はご本人と後見人との約束が守られているかをチェックすることがその役割です。
自分の信頼する人に将来後見人になってもらえますし、その人にやってもらいたいことを「任意後見契約」で決めておくことができる、とても良い制度なのですが、この制度の利用はなかなか広まりません。
私たち弁護士も、この任意後見制度をわかりやすく説明し、制度を使いやすいようにお手伝いしていく必要があると考えています。
弁護士 小川 和男
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