2019年1月11日
時間をゆっくり動かす
昨年の大雪、そして猛暑をすぎて、また新たな冬を迎えています。歳を重ねるにつれて一年はどんどん早くすぎていくように感じます。
五歳の子どもにとっては、一年は人生の五分の一。ところが、五〇歳の大人にとっては、一年は人生の五〇分の一。だから、五〇歳の大人は一年間を五歳の子どもの一〇分の一の短さに感じるのだそうです(ジャネーの法則)。
他にも時間の長さの感じ方を変える要素があるようです。時間の経過に注意が向けられる頻度が高いほど時間がより長く感じられ、その頻度が低いほど短く感じるのだそうです。確かに、楽しい時や忙しくて何かに集中しているときはあっという間に時間が過ぎ、順番待ちなどで何かを待っているようなときは長く感じますよね。
そう考えると、毎年確実に年齢を重ね、忙しさは相変わらずの生活を続けていれば、時間が経つのがどんどん早くなるのは当然だと頷けます。
そんな私でも、昨年から、スピードに逆行することを一つだけ始めています。「歩くようになった」ということです。私はそれまで「歩く」ことには否定的でした。数年前、大ダイエットを経験した私にとって、「歩く」ことは時間がかかりカロリーはさして消費しない効率の悪いダイエットの代表格との意識でしかありませんでした。
ところが昨年、何がきっかけであったか憶えていませんが、突然歩きたくなったのです。体力の衰えとストレス過多のシグナルが、本能的に歩きたいという欲求を生み出したのかもしれません。
歩くといっても毎日歩くようなことはとても無理で、週に一~二回(たいてい土日)、片道一~二キロくらいの場所(事務所からだと万代や駅前、古町付近など)へ昼食に出かけるのがせいぜいです。距離と店によりますが、速歩で食事時間を含めて一時間が目安です。
「なんだ。結局、スピードじゃないか。」と笑われそうですが、それでも、この一時間は、普段の一時間よりも時が流れるのがゆっくりであることを実感できます。この程度のことでも、意図的に時間の流れを遅くしてやることが、ささやかな非日常をもたらし、気分転換となることもわかりました。
時間が早く過ぎるのは、忙しくて集中している、つまり、ある意味で充実している証拠ともいえますが、ときには時間をあえてゆっくり動かすようにしないと人生勿体ないかもしれません。ジャネーの法則で計算すると、私の年齢だと、時間の感じ方では、人生の九〇%が終わっていることになるのだそうです。
今年が皆様にとって新たな発見と体験に満ちた一年でありますように
弁護士 近藤 明彦(ほなみ第125号)