2011年11月11日
裁判員裁判を経験して
事務所誌「ほなみ第109号」掲載
先日、初めての裁判員裁判を経験しました。以下、雑感です。
主任弁護人と私と2人で担当した事件でした。
(連日開廷の大変さ)
これまでの刑事事件の裁判は、1ヶ月に1回くらいのペース、ある程度期間をおいて審理を進めていくのが通常でした。そして、弁護人も、その期日の間に、様々な準備をして、裁判に臨むことができます。
しかし、裁判員裁判では事情は全く異なります。基本的に連日開廷です。私たちの事件の場合も1週間毎日朝から夕方まで審理するというものでしたので、この1週間は息をつく暇も無いというのが実感です。もちろん、弁護人だけが大変なのではなく、検察官も裁判官も同じで、特にこれまで裁判の経験がない裁判員の方の負担は相当なものだろうと思いました。
(分かりやすい裁判)
裁判員裁判では、裁判官3人に加えて、裁判員6人が審理に参加します。法律家だけが関与する従来の裁判では、法律の専門用語などが多く使われ、複雑で長い書面も数多く証拠として提出されていますが、裁判員裁判では、そうはいきません。法廷でのやりとりを見たり聞いたりしてもらって、その場で理解してもらう必要があります。私たちも、自分達の主張が理解してもらえるように、分かりやすい言葉を使っての説明、尋問を試みましたが、裁判員の皆さんに理解してもらえたのかどうかについては、正直分かりません。
(最後に)
裁判員裁判では、重大な犯罪を弁護することになりますが、「何であんな悪い人の見方をするんだ」と言われることがあります。
しかし、被疑者や被告人は、捜査機関から犯罪の疑いをかけられているにすぎません。えん罪を防ぎ、法律のことをよく知らない被疑者や被告人のために援助をする必要があります。読者の皆さんの中にも、これから裁判員に選任される方もいると思いますが、是非、弁護人の役割についてもご理解いただきたいと思います。
弁護士 小 川 和 男
著者:小川 和男
問題を抱えているにもかかわらず、誰にも相談できず悩んでいる方は多いのではないでしょうか、そのような方々が気軽に相談できる弁護士でありたいと思っています。まずはお話を聞かせてください。
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