2019年9月9日
避難生活の苦しみが明らかに
福島原発事故による避難者を原告とする損害賠償請求訴訟は、237世帯804人の原告の代表として、2017年1月から合計39名の原告の本人尋問が行われ避難生活の苦しみについて具体的に証言していただきました。
2019年6月5日には、その総まとめとして、宇都宮大学髙橋若菜准教授(環境政治学)の証人尋問が行われました。髙橋先生からは、原告の237全世帯の陳述書を分析した結果等に基づいて、避難者が本件事故によって、どのような困難を抱え、多面的複合的な生活利益の侵害を受けたのか、原発事故によりなぜそのような被害が生ずるのかについて、専門家の見地から、わかりやすくご説明いただきました。髙橋先生には、新潟県立大学小池由佳教授との共著で、1〇〇頁に及ぶ意見書を裁判所に提出していただいておりますが、法廷では、その要点を漏れなく、かつ、具体的にお話ししていただきました。
新潟県弁護団では、新潟県は避難者が多く、特に避難指示区域外からの避難者が多いことから、避難者の被害の実態を明らかにすることに当初から力点を置いております。避難者の被害の実情をここまで詳細に証言した専門家証人の例は全国でもほとんどなく、「損害論に力を入れる」という新潟訴訟の一つの大きな立証を終えたことになります。
2013年に提訴された本訴訟もいよいよ大詰めを迎えています。東電と国の法的責任がきちんと認められることはもちろんのこと、避難者の被害を正当に評価した判決が得ることが私たちの目標であり、原告の皆さんの願いです。
弁護士 近藤 明彦
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