新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2019年1月25日

新潟大学給与等減額事件で組合員らが最高裁に上告

 新潟大学が、教職員の給与や退職手当を一方的に減額したことに対し、新潟大学職員組合と組合員34 人が慰謝料と減額分の支払いを求めていた事件で、平成30 年10 月16 日、東京高裁は組合側の控訴を棄却する判決を言渡しました。
事件の発端は、平成23  年3月11 日に発生した東日本大震災。この大震災にに対処するため、国は歳出削減が不可欠であるとして国家公務員の人件費を削減する国家公務員給与臨時特例法を成立させ、平成24 年4月から一般職員の給与が減額されました。
特例法の成立を受け、同年3月8日、文科省は、各国立大学法人の学長等に、法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請する事務連絡を発出。新潟大学も、国からの運営費交付金が減額されることを口実に、職員組合との団体交渉を打ち切り、就業規則を一方的に改正し、教職員の給与や退職金を減額しました。
そこで組合員34 人と組合が減額分の月額給与と期末勤勉手当と慰謝料(うち4名は退職金の減額分も請求)を求め、新潟地裁に提訴しましたが、平成29 年7月29 日、地裁は請求を棄却したため、東京高裁に控訴していました。
組合側は控訴審で、「業務活動によるキャッシュフローの収支余剰額や期末資金残高と給与削減額を比較すれば大学には十分な資金余力があった」とする醍醐聰東大名誉教授の意見書を提出しました。
しかし、東京高裁第19 民事部は、給与減額や退職金減額によって新潟大学の労働者が被る不利益は、「その減額の絶対額が給与については小さくなく、退職手当については大きい」ことを認めたものの、「その不利益は一定程度限定的」であるとし、給与等や退職手当の「減額による労働条件の変更の必要性は、高度の必要性であることは必要であるものの、当該労働条件の変更をしなければ、将来、経営破たんや雇用危機を迎えるなどといった特に高度の必要性までは必要ない」とし、大学は特例法が成立し、文科省からの事務連絡により、役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請され、国家公務員の給与削減に相当する金額の一般運営費交付金削減が行われる高度の蓋然性があったから、給与減額を行う高度の必要性があったと判示しました。
組合側ではこの判決を不服として、現在、最高裁に上告中です。
弁護士 中村周而(事務所誌ほなみ第125号)

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