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2019年8月26日

“遺留分”制度の見直しと“特別の寄与”制度の新設

1“遺留分”制度の見直し

“遺留分(いりゅうぶん)”は、遺言によっても奪われない相続人の権利のことです。たとえ遺言書に「〇〇に全部相続させる」と書かれてあっても、相続人である△△さんにも一定のもらい分を保障する、というものです。

しかし、「それでは、いったいどのくらいもらえるのか」という計算が、これまでとてもややこしかったのです。また、計算の結果がかえって相続人の間の公平さを害するような場合もありました。

それで今回の見直しでは、まず、遺留分を計算するための財産の計算式を工夫しました(相続時に残された遺産+相続開始前1年間にした第三者への贈与額+相続開始前10年間にした相続人への婚姻・養子縁組・生計の資本のための贈与額・・・それでも随分ややこしい。)。これに法定相続分の2分の1を掛けると遺留分額が出てきます。

また、遺留分は黙っていたら無視されるので、遺留分が欲しい相続人が「この相続では私の遺留分が侵害された。その金額は〇〇〇円だ。それを支払ってくれ」と請求しないといけません。その金額を“遺留分侵害額”と言いますが、その具体的な計算方法と請求した後の消滅時効の期間が定められました。

 

2“特別の寄与”制度の新設

昔から、親や身内の商売に貢献したり親の病気看護をになうのは、将来相続人になる人たちばかりではありませんでした。本人に子どもがいる場合の兄弟姉妹や子どもと結婚して婚家に入った妻(夫)は、その典型です。

しかし、その人たちの貢献によって本人の遺産が増加したり維持されたりしても、相続人でないことだけで、報われることがあまりありませんでした。これに対する社会的な批判が根強くありました。

そこで、相続人以外の人が遺産の増加や維持に貢献した場合、それを正当に評価して一定のお支払いをしましょうという制度が新しくできました。それが“特別の寄与”制度です。

具体的には、被相続人(亡くなった人)の親族で、被相続人の療養看護や事業に対し労務を提供し、その結果遺産の維持増加に特別の貢献をした場合に限られます。そのような人は、相続人に対し(遺産に対し、ではありません)、“特別寄与料”を請求することができます。

どのくらいの特別寄与料が請求できるかについては、まず当事者間で話し合い、話し合いがダメなら、家庭裁判所に「協議に代わる処分」を求めることができます。その場合、家庭裁判所は、「寄与の期間、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」その金額を決定します。いつ、どんな“寄与”をしたか記録しておくことが大切です。

弁護士 金子 修

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