新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2022年1月11日

金色堂

昨年の晩秋、岩手に帰省した折、わずかの時間ですが平泉の毛越寺と中尊寺を散策しました。平泉は何十年も前に小学校の修学旅行で行ったことがありますが、その記憶も殆ど残っていません。西行の歌ごころや芭蕉の風流とは殆ど縁のない日常を送っていても、先人が歌に残した景勝地を訪ねたり、沢山の人々が行き交う姿を見るのも楽しいものです。長びくコロナ禍が沈静化しつつある兆しもあって東北の名刹は多くの人で賑わっていました。

東北新幹線の一関駅で東北本線に乗り換え平泉駅で下車。徒歩で毛越寺に向かい、その山門を過ぎた付近に芭蕉の「夏草や」の句が英文で書かれた横長の句碑が置かれていました。火災で多くの伽藍を失い、16世紀には完全に消失し、今では見るべき建造物は殆どありませんが、浄土式庭園の大きな池の周囲に沿って歩くとお堂の跡が至るところにあり、庭園の借景となる山並みの紅葉がとても見事でした。

そこから中尊寺を目指して約30分歩き、数十分を費やして月見坂を登り、等身大の弁慶が立ち往生をした像が置かれている弁慶堂を経てさらに中尊寺の本堂を通り過ぎると、ようやく金色堂と彫られた門柱に到着。修学旅行の中学生の皆さんに混じって覆堂に入ると、全面的に金箔がはられた三間四方の金色堂がガラスケースに納まっており、須弥壇上には阿弥陀如来が安置されていました。

中尊寺は、敵味方を区別せず戦没者の魂を浄土に導き、東北に優れた仏教文化を根付かせることを目指して伽藍を建立したものの、14世紀には火災で金色堂を残して焼失したようです。金色堂はそのシンボル的な存在なのでしょうか。

関係者の念願がかなって中尊寺や毛越寺を含む寺院や遺跡群が、「平泉−仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群−」としてユネスコの世界遺産リストに登録されたのは東日本大震災から約3か月後の2011年6月。当時の達増知事は、世界遺産委員会の場で、この時期に登録されたことの感謝を表明し、「平泉は12世紀に、悲惨な戦争の惨禍から立ち上がり、永続的な平和を打ち立てるために建設されました」とスピーチしたそうですが、平和を打ち立てる力は不死身でしぶといんですね。

弁護士 中 村 周 而

(事務所誌「ほなみ」第131号掲載)

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