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2026年7月7日

民事裁判情報の活用の促進に関する法律について

令和7年5月に「民事裁判情報の活用の促進に関する法律」(以下「促進法」といいます。)が成立しました。
 促進法は、法務省に設置された検討会の報告を受け、民事訴訟の判決書をデータベース化し活用するための法律です。
 これまでも、裁判所のホームページ等で判決文が公開される事件もありました。しかし、公開される判決は、年間約20万件(民事訴訟、行政訴訟)の判決のうちのごく一部に限られていました。
促進法により何が変わるのかというと、民事訴訟の全判決(和解等で終了した事件は含まれず判決となった事件)を対象とすることが予定されているということです。
 促進法では、法務大臣から指定を受けた非営利の法人(指定法人)が裁判所から判決書のデータの提供を受け、仮名加工(個人名等の個人情報の加工処理)をした上、仮名加工した裁判情報を利用者に提供することになっています。
 ただし、指定法人からの利用者への提供は有償が前提とされているため、誰もが無償で全判決の情報にアクセスできるということではならないと思われます。おそらく、一次的には法律関係の情報を扱う業者が指定法人から提供を受け、そこと契約したユーザー(法律業関係者、研究者、公官庁、企業等)が提供を受けるという形が予想されます。
 全判決書の情報がデータベース化されることで、これをすべてAIに読み込ませて、AIが現在の事件の勝率を出すというようなことが将来的に行われるようになるかもしれません。
 ただし、促進法によりデータ化、提供されるのは判決書であり、証拠等は含まれません。裁判は、主張と立証の二段階構造であり、証拠(立証)の強弱により裁判の勝敗が決まることが多いため、今回の促進法施行によっても、すべてをAIで判定できるということにはならないと思われます。
 あと、法律関係に限らずAI活用で気をつけなければならいのは、一般的にAIは、誤った情報を基に誤った結論を導く可能性があることです。もし仮に、差別や偏見に基づいた判決書があった場合、AIがその判決書を学習し同じような結論を出してしまう可能性があります。
 したがって、弁護士としては、AIの言うことを鵜呑みにするのではなく、プロセスを調査し、公正さ、正しさを自分で考えて検討することが求められるようになるのではないかと思われます。

                                 (弁護士 小淵 真史)

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