2017年2月24日
「一人暮らしの母親が心配です」成年後見制度ってどんな制度?
(事務所誌ほなみ第121号より搭載)
Q1.最近、1人暮らしの80歳の母親の認知症が進行してきました。祖父の代の土地の名義変更などの話し合いを母親の兄弟たちと話し合う必要がありますが、本人では難しそうです。また、1人暮らしなので悪質な訪問販売などの被害にあわないかも心配です。こういった場合、どのようにしたら良いですか。
A1.判断能力が衰えてきた方ご本人の財産を守るための制度として「成年後見制度」があります。成年後見制度は、判断能力の衰えの程度に応じて「後見」(常に判断能力を欠いている場合)「補佐」(判断能力が著しく不十分な場合)「補助」(判断能力が不十分な方)の3つの制度がありますので、認知症の進行に応じて活用されることをお勧めします。
Q2.成年後見制度を利用した場合、どのようなことができるようになりますか?
A2.成年後見制度のうち「後見」を利用すると、家庭裁判所が選任した成年後見人が、ご本人の為に財産の管理を行います。具体的には、本人に代わって相続に関する話し合いをしたりもできますし、訪問販売などの契約によって、本人に不利益が生じている場合は、その契約を後から取り消すといったこともできます。もっとも、本人の自己決定権の尊重といった観点から、日常生活における日用品の購入などについては取り消しの対象とはなりません。
Q3.具体的にはどのような手続きが必要ですか。
A3.ご本人の住所地の家庭裁判所で手続きが必要です。その際、戸籍や報告書など必要な書類を揃える必要があります。書類の作成にあたっては、弁護士にご依頼頂くこともできます。
Q4.「後見」を利用した場合、「後見人」には誰が選ばれるのですか?
A4.どのような保護、支援が必要か、または親族などの意見も踏まえて家庭裁判所が選任します。なお、申し立ての際に、弁護士などの専門家を推薦することもできますが、親族が後見人になるケースも多数あります。
Q5.「後見」を利用する場合に、どのような費用がかかりますか?
A5.成年後見の申立ての際に、印紙代(800円)、切手代(3000円程度)、登記費用(2600円分)などが必要です。また書類の作成を弁護士に依頼する場合は、別途弁護士との契約に従って弁護士費用がかかります。経済的に余裕のない方の場合、一定の基準を満たせば法テラスの援助制度を利用できますので、一度ご相談ください。
弁護士 二宮 淳悟
著者:二宮 淳悟
2010年12月 当事務所入所 ・新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・関東弁護士会連合会 災害対策協議会PT 委員