新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2018年2月15日

「本人尋問」 ~原発事故損害賠償新潟訴訟~

・裁判の終盤では、「尋問」(証人を尋問する場合は“証人尋問”・当事者ご本人の尋問の場合は“本人尋問”といいます)が行われます。尋問では、嘘をつかないという宣誓をし、双方の代理人からの質問に答える方式で実施されます(テレビでもよく見る光景です)。

・一般民事の事件では、本人尋問終了後に「こういえば良かったですかね」「うまく答えられませんでした」といった感想も少なくありません。生まれて初めて立つ証言台ですから、極度の緊張の中で行われる尋問は決して簡単なことではありません。

原発事故損害賠償新潟訴訟では、これまで原告ご本人の尋問を一年近くやってきましたが、本年2月の裁判でひとまず予定していた部分を終えました。尋問のために証言台に立っていただいた原告の方々も、一般民事の事件と同様に「うまく答えられませんでした」とはおっしゃるのですが、それよりも「やって良かった」という感想を言っていただくことが多かったように思います。

・その理由をよくよく聞いてみると「これまで東電や国に対して直接訴えたことがなかった」「(代理人弁護士であっても)東京電力や国と対峙できた気がする」とのことでした。

避難者の方々は、これまでも、賠償窓口や行政担当者には度々そのご苦労や不満を訴えてきたはずです。しかし、そこでの東京電力や国の「申し訳ありませんでした」「避難者の方々に寄り添って」という「平身低頭な態度」は決して彼らの本音ではありませんでした。この裁判では、被告である東京電力や国の代理人は、反対尋問の際には「もう避難しなくてもよいのではないですか」「科学的・専門的知見は参考にしましたか」などと厳しい質問をしてきます。これに対して原告の方々は自らの体験や経験を力強く証言し、そのことによって、被告らの主張が誤っていることを明らかにしていきました。

・避難者の方々の尋問を終えた後の感想は、原発事故から7年が経とうとする中、裁判所の法廷という場所で「はじめて」生の声で訴え、そしてそのことに達成感を感じられたというものなのだろうと思います。

今年、原発賠償訴訟は佳境を迎えます。さらなるご支援とご協力の程よろしくお願いいたします。

新潟合同法律事務所 弁護士 二宮淳悟

著者:

2010年12月 当事務所入所 ・2012年~新潟県弁護士会 東日本大震災復興支援対策本部 本部長代行 ・2015年~新潟県弁護士会 憲法改正問題特別委員会 副委員長 ・2019年~新潟県弁護士会 糸井川大規模火災対応本部 事務局長 ・2020年~新潟県弁護士会 学校へ行こう委員会 副委員長 ・2023年~新潟県弁護士会 刑事弁護委員会 副委員長  ・2012年~日本弁護士連合会 災害復興支援委員会 運営委員 ・2018年~関東弁護士会連合会 災害対策委員会 副委員長

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