2011年5月25日
「無力感」を行動に変えて
(事務所誌「ほなみ」第108号掲載)
入稿が遅れている間に3月11日の震災が起きました。そこで、急遽テーマを変えて、震災と「無力感」について考えてみます。
震災後、テレビを見た多くの人が被災地の様子にショックを受けたと思います。そして、多くの人が「自分も何か役に立ちたい」と思ったはずです。私もそう思いました。
ところが、道路を修理したり、病人の看護をするといったスキルを持っている人はともかく、そうでない私をはじめとする大多数の人は、「役に立ちたい」と思っても、残念ながら分かりやすい形では役に立つことができません。
悲惨な状況を目の前にしながら、自分には何もできないこと。
自分が役に立たないと感じること。
よくDV被害者が精神的に傷つく原因として、「無力感」が挙げられるのですが、まさにこのような感覚を指すのだと、カウンセラーの方が講演会で仰っていました。
たしかに、テレビなどで被害の様子を知ること自体からも精神的ダメージを受けますが、自分が被害回復の役に立てないと感じることによってもダメージを受ける気がします。
そして、そのダメージを回避するために、「自分は役に立つ」のだということをいろんな人がいろんな方法で確かめようとしているように思います。それが、支援物資や義援金、ボランティアという形で表れているという側面もあるのではないでしょうか。一部のボランティアの人たちは、以前から「させていただいている」という表現をしていましたが、自分の「無力感」を克服するために、「自分は役に立つ」と思えることを「させていただいている」、と考えれば、謙遜でも何でもなく、率直な表現なのだと思います。
というわけで、私も「無力感」を克服すべく、新潟にいらした被災者の方々へ、法律を含む各種情報の提供を「させていただいて」おります。
また、当事務所では、当面の間、被災者の方への震災に関する相談を無料とさせていただきます。倒壊した自宅のローン、賃料の問題、原発関連の補償の問題、当面の生活費の問題などのご相談に対応いたします。
弁護士 内 山 晶
著者:金子 修
まず相談を。少しの費用で(無料の場合もあり)、トラブルの解決の道がわかるだけでも全然違います。相談を受けてまた考えれば良いのです。お気軽に、受話器を取ってください、メールを送ってください。