2009年6月18日
「裁判員制度始まる」
(2009年5月15日発行ほなみ掲載)
いよいよ、5月21日から裁判員裁判が始まります。
賛成、反対、延期、見直しなど、様々な意見が出され、国会議員の中でも、裁判員制度を問い直す議員連盟が結成されるなどの動きもあり、大きな関心が寄せられています。
確かに、裁判員制度は、私たち弁護士が望んできた刑事裁判の改革を完全に実現したものではありません。無罪推定の原則が徹底されていない、密室の評議により裁判官が事実認定について誘導をする、取り調べの可視化が不十分である、重大事件を短期間で審理するために真実解明が疎かにされる危険がある等々、多くの問題点があることは否定できません。
しかし、裁判員裁判によって、これまでの人質司法、調書裁判といった刑事裁判の問題点が改善される方向に進むことは確実であり、また、このような問題のある制度であるからこそ、弁護士が積極的に関わって、問題点を克服していく必要があり、市民の皆様も裁判員になって、積極的に裁判官の意見に疑問をぶつけ、納得のいく、市民の皆様の良識・常識に適う結論を出していく必要があると思います。
裁判員になられた市民の皆様におかれましては、裁判での審理をしっかりと見ていただき、自分自身の視点で、意見を積極的に述べていただきたいと思います。評議ではどのような意見を述べても自由です。市民の皆様が自分の視点で自由に意見を述べることで、裁判に健全な社会常識を反映させることができます。
「疑わしきは被告人の利益に」「10人の犯罪者を見逃してでも、1人のえん罪者もつくってはならない」という刑事裁判の大原則を、どうか忘れずに評議に臨んでください。私たちも、市民の皆様の良識・常識が裁判に正しく反映されるように、全力を挙げて取り組んでいきます。
弁護士 小川 和男
著者:小川 和男
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