新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2023年1月6日

いらっしゃいませ、こんにちは

 いらっしゃいませぇ~、こんにちわぁ~」―― コンビニや居酒屋、ハンバーガーショップのドアを開けるとよく飛んで来る言葉です。かなり前から使われているいわゆる“バイト敬語”の一つで、最初言われた時、思わず「オレの知り合いかな」と声の主の顔をじっと見てしまいました。

 替え歌の天才嘉門タツオさんは、ヒット曲『ハンバーガーショップ』で、マニュアルどおりのセリフしか言えないアルバイト学生に闘いを挑もうと思い、あるハンバーガーショップに入り、さっそくマニュアルどおりのバイト敬語「いらっしゃいませぇ~、こんにちわぁ」と呼びかけられると、すぐさま「馴れ馴れしい、気安く声かんけな、初対面や!」と闘いをスタートさせます。

 確かに、「いらっしゃいませ」と言われごく普通のお客対応をされるのかと思いきや、すぐに「こんにちは」と一気に知り合い扱いされてしまうと、ウッ何これ気持ち悪いと身震いし、「アンタとは初対面だし、気安く近づかないでくれ」と思わず言ってしまいそうになります。

 しかし、専門家が見ると、初めてのお客さんにも安全に使うことができる「いらっしゃいませ」と、本来知っている相手に使う「こんにちは」を並べて一度に言うのは、まずは丁寧なあいさつで迎えておいて、それで(一応この場での)人間関係ができたと見なし、知っている人への親しいあいさつを重ねて、さらに近い人間関係に発展させ、一瞬その場を去りがたい気持ちにさせ、お客の気を商品の品定めの方向へ向けさせようという戦略(ストラテジー)、と見ることができるのだそうです。

 なるほど、あいさつ言葉ひとつを取ってもビジネスなんですね。

 今年はウサギ年です。「ウサギさん、いらっしゃいませぇ~、こんにちはぁ~、今年もよろしくお願いしますね。」

 (新潟県蒲原地方で生まれ育ったウサギ)「こんにちはぁとか言ったって、おめさんなんか、オラ知らねぇよ。マチの人かい。らろも、何か相談ごとがあったから訪ねていくこて。」

弁護士 金子 修

(事務所誌:ほなみ第133号より)

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