2019年8月23日
デザインには「理由」がある
長男が生まれてから、NHK・Eテレの教育番組を見る機会が多くなりました。長男のお気に入りは、「デザインあ」(「身の回りに当たり前に存在するモノを『デザイン』の視点から徹底的に見つめ直し、斬新な映像手法と音楽で表現した番組」)です。特に「デザイン問答」(身の回りに存在するモノの「デザイン」の成り立ちについて、男の子とおじいさんが電話で問答するコーナー)は大好きで、親である私もハマっています。
最近放送された、電車やバス内で見る「つり革」の「デザイン問答」では、「デザインには理由があるんだね。」という男の子の発言が印象的でした。「つり革の握り部の形が丸いのはなぜなのか。」など日常生活で使われる「身の回りに存在するモノの『デザイン』には理由がある。」ということを気付かされたからです。「デザインあ」をはじめとする教育番組は、私たち大人が思い至らないものを教えてくれますね。
私たちが仕事の拠り所とする憲法・法律など法制度も、存在理由があります。司法試験の勉強をする際も、法律を理解する上で「この制度が存在するのはどうしてなのか。」を常に考えるよう指導されました。法制度の存在は視覚では確認できないですが、各制度では理由のあるデザイン(設計)がされています。「デザインには理由がある」は、あらゆる事柄に共通する言葉だと思います。
今年の参議院選挙では、争点の一つに憲法改正が掲げられました(選挙の結果、参議院の改憲勢力は3分の2に及ばなかったものの、憲法改正発議及び国民投票の可能性がなくなったわけではありません。)。政府・自民党は、日本国憲法九条に自衛隊を明記するなど、憲法のデザインを変えようとしています。そこで重要なのは、新しい憲法をデザインした「理由」を考えることです。我が国の歩みの拠り所となる憲法のデザインを誤らせないためにも、政府・自民党の説明内容が「理由」として適切かを検討する(さらに、新しいデザインの「理由」を考える。)姿勢が必要です。
「デザインあ」から、私は、「『新しい憲法』の『理由』に限らず、日常生活に存在する『もの』のデザインを盲目的に受け入れるのではなく、その『理由』を徹底的に見つめ直す意識が求められるのではないか。」ということを教えてもらえた気がします。
最後に。新しい相続法が施行され、遺言や遺産分割の内容も変わります。相続法のデザインが改正された「理由」は多岐に渡りますが、現実的な対応はどうすれば良いのでしょうか。今回のほなみでは、各弁護士が、新しい「デザイン」になった相続法等の制度の内容及び対策などを、解説しています。お楽しみに。
弁護士 加賀谷 達 郎
“遺留分”制度の見直しと“特別の寄与”制度の新設
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