2017年10月10日
働けど 働けど・・・・
(ほなみ第122号より搭載)
電通の新入社員(当時24歳)が過酷な長時間労働による過労自殺として労災認定された事件も、野放しだった大企業の長時間労働を摘発する契機となりました。
2020年開催の東京オリンピックの開幕にあわせて急ピッチで進められている新国立競技場の建設会社に、大学を卒業して入社1年目の23歳の現場監督が月200時間の長時間労働による過労自殺だとして労災申請を行ったというニュースも、若い世代に過酷な長時間労働が蔓延していることを象徴するものでした。
業務の性質から、業務を行う方法に大幅な裁量が労働者にある業務とされる専門業務型裁量労働制が導入されると、何時間働いても労使協定で定めた労働時間しか働いたことにならないので、残業代などを0円とすることができる制度です。この専門業務型裁量労働制の対象業務も当初の5業務から19業務に拡大され、長時間労働が野放しとなっています。
情報処理システムの分析・設計、新聞・出版事業の記事の取材・編集業務、放送番組の製作・編集業務、コピーライターの業務、インテリアコーディネーター業務など、大学を出た若者が大手企業として就職したくなる職場に拡大されています。
安倍内閣は「働き方改革」と称して、長時間労働をなくすことを政策として行うような「印象操作」をしています。労基法の改悪によって、裁量労働制の対象業務を拡大し、残業代0円の業務を増やすだけでなく、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)を導入し、何時間働いても、休日に労働しても、深夜に及ぶ労働をしても、残業代をまったく支払わないという制度を導入してようとしています。特に高度プロフェッショナル制度が導入された場合に年収要件も緩和され、低い年収の労働者に適用が拡大することは十分考えられます。
石川啄木の歌集「一握りの砂」に、「はたらけど はたらけど猶 わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る」が出版されたのは1910年ですが、100年を経た現代でも共感を呼び、我が「暮らし」や「仕事」が楽にならずと思わずに口にしたくなる歌といえます。
若者が過労で生命・健康が奪われることのなく、働いた時間に応じた賃金が支払われる社会を取り戻すためにも、安倍暴走内閣の政策を止めなければならないと思います。
弁護士 土屋 俊幸
~労働問題~
モメごとは調停におまかせ調停ってイイもんだぜ