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2023年9月22日

協議離婚はホントに賢いやり方なの?

皆さんご存じのように、日本人どうしが離婚する場合の方法は、協議離婚→調停離婚→裁判離婚の3つがあります。この3つどんな割合かというと、90/9/1だそうです。つまり、100組の離婚があるとすると、90組が協議離婚、9組が調停離婚、1組が裁判離婚となります。圧倒的に協議離婚が多いわけです。

協議離婚は“簡単”で“面倒くさくない”です。「私たち別れましょ」「そうだね」と合意して、すぐに近くの役所に行って離婚届出用紙をもらって空欄を埋め、近しい人2名に証人欄に署名してもらい、そのまま役所に提出すれば、終わりです。

しかし、これまでの弁護士の仕事を振り返ってみると、協議離婚って結構やばいよねという感覚があります。

離婚の時に解決しなければならない問題は、主に、①子どもの親権者、②養育費、③財産分与、④慰謝料です。①は協議離婚でも必ず決めなければなりませんが、②③④は決めなくても協議離婚はできます。②も③も③も結構面倒くさく、すぐに離婚したいという気持ちが先行して後回しにしがちです。

しかし、これがあとあとボディブローのように効いてくるのです。離婚熱が醒めてしまえば、もう一度話し合うことは難しく、またうまく話し合いができて『合意書』を作成しても、その後相手方が約束を守ってくれる保証はありません。ちなみに、ある調査では、ひとり親家庭で、離婚時に養育費の取り決めをしなかったのが54%、離婚後一度も養育費をもらったことがないのが56%だったそうです。

おとなり韓国の協議離婚はひと味違います。協議離婚をすると決めたら、家庭裁判所に“私たちの離婚意思を裁判所で確認して下さい”という申請をします。申請後、1ケ月ないし3ケ月後に2人で裁判所へ出向き、裁判官の前で離婚意思を確認してもらいます。要するに、“早まってはならない、一度冷静になって考えてみたらどうか”という時間を与えられるのです。それでも離婚意思が消えなければ、裁判所から『離婚意思確認書』が渡され、それを添えて役所に離婚を届け出ます。また、2人の間で養育費を決めていれば、裁判所が『養育費負担調書』を作ってくれ、守らなかった場合強制執行も可能となります。

その結果、協議離婚しようと決意し実際に離婚手続が終わるまで数カ月かかるとのことです。しかし、離婚後の将来のことを考えれば、数カ月くらい大したことはないように思います。

最近ようやく韓国旅行ができるようになり、私もついこの間行ってきて、用事があって大田(テジョン)市にある大田家庭法院(大田家庭裁判所)の門前にしばらく佇んだことがありました。ふり続く雨の中で、そんなことをぼんやり考えていました。

(弁護士 金 子 修)

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