2010年10月18日
子どもの人権を侵害する「スクール・セクハラ」
(事務所誌「ほなみ」第106号掲載)
体育系部活の教職員がマッサージと称して女子生徒の身体を触るとか、大会に負けたため根性を入れ直すと称して部員の男子生徒達に下半身裸でランニングさせる事例、「大会に出場させてやる」などという利益供与と拒否すれば出場できないという不利益で誘惑したり、習字の筆使いやパソコンのマウスの動かし方を教えるかのようなしぐさでさりげなく女子生徒の胸に触れる事例など、学校における教職員による生徒に対するセクシャルハラスメント(セクハラ)が話題にのぼることがあります。
学校におけるセクハラは「スクール・セクハラ」と呼ばれています。教育委員会が作成しているスクール・セクハラの防止の冊子では、①性的な行為・行動として、身体へ不必要に触れたり、見つめたり(凝視)、執拗に電話やメールを送ったり、尾行、ヌードポスターなどの図画・写真の掲示、性的な関係の強要のほか、女子だけに掃除や後片付けを割り当てたり、男子だけに力仕事を割り当てる、会長は男子・副会長は女子という男女の役割分担という古い意識によるものも含みます。
更に、②性的な言動によるものとして、性的な冗談やからかい、性的な体験や容姿など身体的特徴について話したり、聞いたりすることで不快にさせることが、例としてあげられています。
スクール・セクハラの多くは教育という装いがなされ、教職員という優越した立場を利用して子どもの人権を侵害するものです。被害に遇った子どもも未成熟であるがために被害を被害と意識しないとか、嫌だと思っても拒否すると教職員からのいじめや不利益扱いを受けるのではないかという不安や、被害の訴え自体を信じてもらえないなどから、スクール・セクハラが隠蔽されてしまいます。
教職員によるスクール・セクハラは被害者である生徒の人間としての尊厳を傷つける人権侵害です。
教職員のセクハラ自体が犯罪行為に該当する悪質なものもあります。子どもの学習意欲を失わせ、不快にさせるだけなく、それが契機で、生徒間のいじめに発展するなど、被害生徒の教育環境を悪化させ、不登校や非行などにも発展しかねないものです。
このような学校におけるセクハラを防止することが子どもを一人の人間として、その尊厳を尊重することにつながります。一見軽微なものであっても放置できない問題として取り組んでいく必要があります。
弁護士 土屋 俊幸
著者:土屋 俊幸
パソコンのハードとOSに強く、当事務所のパソコン機器のメンテナンス係りです。自分で高性能のパソコンを自作しています。オーディオが趣味で、最近では、デジタル信号をアナログ信号に変換する機器(DAC)にiPadをつなぎ、どのUSBケーブルだと良い音ができるのかを試行錯誤をしています。ハイレゾ音源とYouTubeのヒアノ演奏や交響楽団の演奏を真空管アンプで、30年前に買ったスピーカーで、音の歪みのもたらす音に聴き入る時間をつくりたいと思っています。論文検索や技術情報の収集など情報検索を駆使しての情報集めを得意としています。オーディオの世界と仕事では燻銀の経験と粘りで頑張っています。
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