新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2026年8月31日

定年後雇用を選択しない親の養育費の支払義務

 65歳までの雇用機会の確保が義務付けられ、ほとんどの職場では定年が65歳に延長されたり、60歳定年後の雇用制度が設けられていることと思います。
 一方で60歳以降の雇用機会が確保されても、60歳で退職を希望する方もおり、その選択は各自のライフプランによる選択が許されていよいはずの事柄です。
 しかし、まだ養育費の負担を要する子がおり、60歳以降の雇用延長制度があるにもかかわらず、60歳で退職することを選択し、自らの収入がないことを理由として養育費を支払わないことが許されるかという問題が生じることがあります。
 裁判所は、養育費の負担額は、本人の収入によって算定することを原則としていますが、収入がなく、または、低い場合であっても、十分に働けるのに、養育費の減額を意図したり、労働意欲がないなどの理由で、あえて働かないような親に対しては、養育費の支払義務を免れさせるのは公平に反することを理由として、「収入を擬制」するなどして、相当額の養育費の支払いや婚姻費用の分担を命ずることがあります。
 60歳定年後雇用における養育費の問題もこれと同様の問題と考えられることが多いのではないでしょうか。
 先日、私が取り扱った事案において、格別健康上の問題がなく、65歳までの雇用延長制度が設けられているにもかかわらず、60歳で退職することを選択して養育費の支払いを拒んだ父親に対する養育費の請求が問題となったケースがありました。裁判所は、定年後雇用によって得られるであろう収入を擬制し、養育費の支払いを命ずる審判を下し、母親は、無事養育費の支払いを受けられることができたケースがあります。
 定年後雇用を選択せずに60歳で退職することは、それぞれの人のライフプランによるものではありますが、未成熟な子がいるのであれば、自らの健康に問題がなく、その他60歳退職を選択しなければならない必要性がないのであれば、自らが親権者ではなくても、子のために働いて収入を得ることが親の務めであると考えるのは自然のことと思います。
 高齢で子を設ける夫婦が増え、このような問題は今後増加していくものと思います。事案によりケースバイケースといえますが、「収入の擬制」という考え方があることは知っておくとよいでしょう。

著者:

話しやすい雰囲気で相談・打合せを行い、丁寧な事件処理をすること。依頼者の皆様の満足と納得を最優先にし、安心感を得ていただけることを目標として頑張っています。以前依頼者であった方から、別の事件の相談を再び受けること(リピート)、別の相談者を紹介していただくこと(孫事件とでも言いましょうか)が多く、そのことが私にとって大きな励みになっています。お客様から満足していただけたかどうかのバロメーターであると考えるからです。

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