新潟合同法律事務所(新潟県弁護士会所属)

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2017年4月27日

平成20~23年度の政務調査費の返還履行請求訴訟・東京高裁でも一部請求認容

新潟市民オンブズマンが、新潟県知事に対し、平成20年から23年度までに新潟県議会議員の使用した政務調査費の返還を県議会議員に求めるよう請求した訴訟の控訴審判決が、本年4月26日、東京高等裁判所で言い渡されました。

高裁判決は、新潟県知事に対し、議員1名に約185万円の返還を請求することを命じたものの、他4議員については、第1審判決を取り消し、請求を棄却しました(他の3議員は、判決前に、第1審判決に従って政務調査費を新潟県に返還しました。)。

高裁判決は、新潟地裁の判断(賃貸人が自己又は親族の代表者を務める会社の場合に事務所賃料の支払いに政務調査費を充てることは、原則違法)を後退させるもので、大変残念でした。

もっとも、高裁判決は「会社の実質がその代表者である議員本人や親族個人の個人企業と認められるなど当該会社の実態等から見て、当該事務所の賃貸借が自己または親族からの賃貸借と同視できるときには、その賃料に政務調査費を充当することは許されない」とし、自己又は親族が代表を務める法人が所有する事務所の賃借料に政務調査費を充当することを「李下に冠を正さずという箴言が妥当する領域の問題」と述べたにとどめた平成25年6月4日東京高裁判決(平成19年度の新潟県議会議員の政務調査費の支出の違法性が争われた訴訟)よりやや踏み込み、「会社の実態等で事務所賃料に政務調査費を充当できるかを判断すべき」としました(1議員は、賃料の支払い先が自己または親族の個人企業と同視できると認定しました。)。

今回の高裁判決を前提とすると、今後、地方議会議員が、賃貸人が自己又は親族の代表者を務める会社に支払う事務所賃料に政務調査費を充てる場合、当該議員は、賃料の支出先が「議員本人や親族個人の個人企業」ではないことを客観的資料等で説明し、説明内容も情報公開等により明らかにする必要があると考えます。

高裁判決は、平成25年の高裁判決を単に維持したのではなく、会社実態の説明を議員に要求した点では、評価できるものであり、地方議会議員の情報公開等を含む説明責任もより明らかになったと思います。

本事件の担当は、齋藤、加賀谷でした。引き続きご支援の程よろしくお願い致します。

 

弁護士 加賀谷達郎

 

 

著者:

新潟県よりさらに冬が厳しい秋田県で生まれ育ちました(北海道に住んだこともあります。)。縁あって、学生時代を過ごした新潟で、弁護士として活動することができ、嬉しく思います。「弁護士」と聞くと「なるべく関わりたくない」という方が大多数かと思いますが、ご依頼された場合、法律・裁判例を念頭に置きながら、「依頼者の方にとって一番良い解決は何か」を考え、業務に務めたいと思います。雪国育ちですが、スキーはできません。しかし、寒さ・辛さにも耐える我慢強さ、簡単にあきらめない粘り強さには自信があります。TVドラマで登場する弁護士の様な華麗さはないですが、依頼者の方と誠実に向き合い、粘り強く、少しでも良い解決を目指したいと思います。

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