2020年2月6日
年金の減額を許さない未支給年金訴訟
(事務所誌ほなみ第127号掲載)
年金支給年齢の引き上げの検討など、昨年の参議院選挙においても注目された年金問題は国民の大きな関心となっています。
毎年のように減額されていく年金問題は高齢者の生存権を脅かす重大な問題となっています。
新潟地裁でも、年金者組合が中心となって、年金減額が憲法二五条、憲法二九条に反するとして、原告六二二名が提訴しています。
主に年金で暮らす高齢夫婦の家計について、「実収入と実支出との差は月五・五万円程度」との厚労省からの資料をもとにして金融庁が九五歳まで(三〇年間)の老後の生活を送るには二〇〇〇万円が不足するを試算し、金融庁の報告書でなされたことが報道されたことで、現在の年金制度が老後を安心して生活できるものではないことが明らかになりました。
昨年の年金制度に関する一連の報道で、年金制度の改正によって、積立方式から賦課方式に変更され、特に平成二四年の改正で現役世代の負担増に上限を設けつつ、現役世代の減少や平均余命の伸びに応じて年金額を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」を導入され、高齢者世帯の生活が脅かされています。
全国で行われている未支給年金訴訟は、証人調べが終わり、今年は判決が各地で出る状況になっています。
新潟訴訟も、原告本人尋問や証人尋問を行わせ、「マクロ経済スライド」による年金減額政策がいかに不合理で生存権と財産権を侵害する違憲なものであることを明らかにしたいと思います。
みなさまのご支援をよろしくお願いします。
(弁護士 土屋俊幸)
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